元おっさんの異常な戦記~または俺は如何にしてニートを止めて武器名を叫びながら戦うようになってしまったか

於田縫紀

序章 何処かで狂った俺の未来

プロローグ どうして俺はこうなった

第1話 俺の後悔

 敵小型機の体当たり攻撃。

 盾で何とかカバーしたが敵が自爆。

 爆風の衝撃で姿勢が崩れた。

 上下反転。

 下へ落とされかける。


「高機動バーニア!姿勢制御!高速後退!乱数軌道!」

 最強の飛行装置を出して姿勢を取り戻し高速離脱。

 追いすがってくる敵を確認すると同時に攻撃。


「武装変更!サイガ・MK-107無反動小銃

 ロシア製無反動小銃で背後の敵方向に弾幕。

 敵小型機、翼持つ四面体型2機を破壊。

 残りあと1機。


『高熱反応、ビーム来ます。狙いは蓮!』

 陽菜の指示。

 俺がターゲットか。


「攪乱幕!」

 文月がビーム攪乱幕を張ってくれる。


 よし!

「武装変更!耐熱シールド!鏡面仕上げ!被弾経始!」

 高熱が盾でガードされる。

 それでもじんわり熱は感じる。

 だが大丈夫、そう信じ込む。


 そして。

「武装変更!M249 パラトルーパー!、必……取り消し」

 撃つまでも無かった。


「聖霊刀!」

 葉月の刀が敵を両断。

 こっちを攻撃し終わった中型の敵、飛行ビーム砲が落ちる。


『状況終了。通常空間に戻ります』

 陽菜の声と同時に景色は変わって。

 気がつくとマンションのリビングだった。

 葉月も文月ももちろん俺も、普段着に戻っている。

 何とか帰ってこれたという安堵感と、そして違和感と疑問形。

 何で俺、こんな事になったのだろう。

 思わずため息が出た。


 ◇◇◇


 本来の俺は45歳無職の一人暮らしだった。

 そこそこの会社で20年程真面目に働いた後43歳で退職。

 通勤限界にある投げ売り価格の一戸建てを退職と同時に購入して。

 あとは死ぬまでまったり貧乏暮らしをする予定だった。


 貯金は何とか年金まで暮らせる程度はある。

 年金もそこそこ生活出来る程度には貰える予定。

 通勤もパワハラも何もない、朝早く起きる必要の無い毎日。


 だがそんな暮らしをだらだらやると、趣味等というものが欲しくなる。

 時間つぶしと社会にちょっとだけ繋がっているという安堵の為だ。

 そんな訳で始めたのが小説の投稿。

 某サイトに投稿し始めて1年ちょっと。

 固定の読者もある程度出来てそこそこ平穏な日々だった。

 そう、そこまではいい。


 その投稿サイトで、あるコンテストに参加してしまったのが。

 きっと間違いの始まりだった。

 もう少し目立って読者を増やしたいというささやかな欲望のせいである。


『防衛省・自衛隊協賛、戦う短編小説コンテスト』


 ついつい本気で挑戦して。

 一週間程試行錯誤して書いた、10話構成2万字の作品をUPしてしまった。


 普段俺が書いているのはファンタジー。

 だが俺は元々ロボ系アニオタで軍オタでメカオタ。

 だからそこそこの話にはなったと思う。

 自分でもまあまあ出来がいいなと自賛する程だ。


 結果、結構いいランキングでほくほくしていたら。

 結果発表日の数日前、あのメールがやってきた。


『特別賞に決まりました。ついては条件等の話し合いのため……』


 久しぶりに髭を剃って、1,000円カットだが散髪もして。

 会社員時代に来ていたスーツでのこのこと出かけた結果。

 会場の控え室で何故か急激に眠くなり、意識を失って……

 気がつくと全ては変わってしまっていた、という訳だ。

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