314.シューティングスターへの納品

 昨日は報酬の受け取りでゴタゴタしてしまったが、今日はシューティングスターから受けていた依頼の納品日だ。

 依頼されていたショットガンは既に完成しており、後は受け渡しをするだけである。

 ……そういえば完成したら連絡をするって言ってあったんだっけ。

 それじゃあ、メールを書いて送信っと。

 さて、後は本人が受け取りに来るまでポーション作りでもしていよう。


「トワ。お店の方にロックンロールが来てるわよ」

「……もう来たのか?」

「トワからメールをもらったから急いで来たって言ってたけど」

「……確かに送ったな。10分ほど前に」

「それはまた随分と急いで来たものね」

「悪いけど、今ポーション作りで手が離せないんだ。談話室か応接室に通して待っていてもらえるように伝えてくれるか?」

「いいわよ。それじゃあ、談話室だと私達も使うことがあるし、応接室の方に案内しておくわ」

「頼んだ。ポーションが作り終わったらすぐに行くから」


 さすがに、いくら何でも早すぎるぞ、ロックンロール。

 ひょっとしてメールが来るのを待ち構えていたのか?

 ともかく、今作ってるポーションを仕上げたら、すぐに応接室に向かうか。


 20分程かけてポーションを仕上げた後、俺はクランホームの応接間へと向かった。

 応接間に入ると、落ち着かない様子で座っているロックンロールがいた。


「悪い、こちらから呼んだのに待たせたな」

「いいえ、大丈夫ですよ。……立派な応接室ですね」

「見た目だけな。一応、名のあるクランなんだから形だけでもしっかりしろって」

「そうなんですね」

「ああ。もっとも、この部屋を使う事なんて滅多にないんだが」

「そうなんですか? 『ライブラリ』ならお客も多そうなのに」

「大抵の客は談話室に通して話をするからな。今回は長い時間待たせそうだったから、こっちに通してもらった」

「なるほど。……それで、依頼していたショットガンは完成してますか?」

「完成してなきゃ呼ばないさ。……ほれ、これが完成品だ」

「ありがとうございます。……すごいですね、全部、攻撃力が400もある」

「可能な限りいい魔石を選んで作ったからな。メテオライトとかを使えば、もっと攻撃力が上げられたんだが」

「そんな、これで十分ですよ。それでは代金をお支払いしますね」

「……毎度。確かに受け取ったぞ。そういえば、この前作った、イニアスナイプの調子はどうだ? オリジン装備だからメンテナンスフリーだけど、結晶強化した結果は俺もわからないからな」

「……『妖精郷の封印鬼』に行って試し撃ちをしてみましたが、すごい威力でしたよ。他のクランには見せるなと言われるほどに」

「そうなのか? 確かに、強化結晶の強化可能値の限界に近いものだが、そこまで威力が上がるとは思えないんだが」

「かなりの高威力でしたよ。……まあ、俺は元のイニアスナイプの攻撃力を知らないので、必要以上に驚いているだけかも知れませんが」

「かもな。イニアスナイプはそのまま使っても、かなりの高火力がでる武器だからな」

「そうですね。普段の狩りで使わせてもらってますが、以前は手こずっていた相手でも、接近される前に倒せるようになりました」

「それはよかった。サーバーでもかなり数の少ない武器なんだから、大事に扱えよ。破棄も譲渡も不可能だけど」

「はい、ありがとうございます。それでは、これで失礼しますね」

「ああ。また依頼があったら来てくれ。もちろん対価も用意してもらうけどな」

「わかってますよ。それでは失礼します」


 律儀に一礼して去っていったロックンロールを見送り、今後のスケジュールを考える。


「あと、今のところ受けている依頼は次元弐からの依頼だけか。確か、こっちの依頼はショートバレルショットガンとロングバレルショットガンの両方だったよな」


 ショートバレルショットガンについては散々作ってきたから勘所も押さえてある。

 でも、ロングバレルショットガンはあまり作ってないから、まだ性能が安定しているとは言い難いんだよな。


「……まあ、なるようになるか。それじゃあ、ポーション作りにいったん戻るとしよう」


 この日はポーション作りの後、同じく料理作りを終えたユキと一緒にカボチャ集めを行うこととなった。

 カボチャ装備や仮装衣装には興味がないけど、食材としては押さえておきたいからな。

 途中でドワンから連絡があって、ロングバレルの方の銃身も完成したらしい。

 明日からはそっちの対応だな。

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