294.学術都市探索
土曜日は結局、日中は家の用事、夜は『妖精郷の封印鬼』レイドで時間がなかったため探索はなしになった。
レイドの際、白狼さんにスレイプニルの方に進展があったか聞いてみたけど、あちらもあまり進展はないらしい。
現時点のレベルと装備で勝とうと思えば、強化結晶で装備をガンガン鍛えるしかなさそうという話。
確かに、盾役が3発で死ぬんじゃ話にならないわけだし、そう考えるのも仕方のないことだろう。
なので、しばらくは強化結晶とヒヒイロカネを集めることに専念することにしたそうだ。
ドワンにもヒヒイロカネの特性を聞いていたし、悪くはないだろう。
そして、一夜が明けて今日。
今日は時間ができたのでユキと一緒にマナリーフ王国、学術都市を探索することになった。
まずはそれぞれ別行動で各自のギルドに行きクエストを受けながら情報を集めることに。
手始めに調合ギルドでポーション作成の手伝いを行ってから話を聞いていたが、めぼしい話はなかった。
せいぜい、この街の観光名所のような場所についての情報くらいだろうか。
次に向かったのはガンナーギルド。
ガンナーギルドを優先したのは、単に距離が近かっただけである。
ガンナーギルドではいつもの銃製造依頼があったので、これを引き受けて完了させる。
ここでも話を聞いてみたけど特別変わった話は聞けなかったかな。
『トワくん、今どこにいるのかな?』
ガンナーギルドを出たところでユキから連絡が入る。
あっちは何か変わった情報を持っていればいいんだけど。
「ユキか。こっちは調合ギルドとガンナーギルドでクエストを終えたところだ」
『そうなんだね。こっちも料理ギルドとランサーギルドのクエストが終わったところだよ』
ユキの方でもギルドを2つ回り終わったところか。
それならちょうどいいし一度集合するか。
「ユキ、一度集まって状況を確認しないか?」
『うん、わかったよ。それじゃあ、ガンナーギルドに向かうから待っててね』
「わかった。気をつけてな」
ユキがこちらの方にきてくれるらしいので俺の方はこの場を離れずに待つ。
その間に色々と情報を整理しようかと考えたが……もらった情報のほとんどは上位魔術スキルに関する内容なんだよな。
話の内容も『学術都市で学べば上位魔術スキルの新しい魔術を覚えられる』というものばかりだ。
それらについては、各国が実装されて少し経ったときには既に色々なところで噂となり、今では検証自体も終了している話だ。
……そういえば俺も【雷鳴魔術】と【神聖魔術】がカンストしたんだっけ。
この機会だから、これらのスキルを強化してもいいかもしれないな。
覚えられるのは【天雷魔術】と【天光魔術】の2つ、SP消費は合計45か。
SPにはまだ余裕があるし、覚えてしまっても構わないよな。
……よし、両方とも覚えたぞ。
問題はどう使っていくかだけど、それはまた後から考えよう。
「あ、トワくん。お待たせ」
「ああ、ユキか」
どうやら、ユキもやってきたようだ。
ユキの方で何か面白い情報を見つけてくれているとありがたいんだけど。
「ユキ、そっちは何か変わった情報はあったか?」
「ううん、こっちはあまり変わった情報はなかったよ。魔術を研究してる人のところで勉強すれば新しいスキルが手に入るってことくらいかな」
「そっちも似たような感じか。俺の方も魔術スキルに関しての話ばかりだな」
「そうなんだね。……これからどうしようか?」
「そうだな……。とりあえず、錬金術ギルドにはまだ行ってないからそっちに行ってみるか」
「うん、わかったよ。それじゃあ、向かおう」
「そうだな。行くとするか」
俺達はガンナーギルド前から錬金術ギルドまで移動した。
錬金術ギルド前は割と閑散としているな。
……まあ、調合ギルド前も同じ感じだったけど。
「料理ギルドもそうだったけど、生産系のギルド前って人が少ないね」
「そうだな。……戦闘系ギルド前が割と人が多いのが疑問だが」
「そういわれるとそうかも。あれってほとんどプレイヤーだよね。何をしてるんだろう?」
「さあてな。とりあえず、錬金術ギルドに入ってみよう」
錬金術ギルドに入ってみたが、ギルドの中も割と空いていた。
生産系ギルドが人気がないというわけではないと思うんだけど。
とりあえず、手近なところにいる受付から事情を聞いてみるか。
「すまない、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう?」
「この街って生産系ギルドが割と空いてるけど、いつもこんな感じなのか?」
「そのことですか。そういう質問が出てくるという事はお客様達も
「ああ、そうだけど」
「
「なるほどね。それじゃあ、生産系ギルドにはその影響がないというわけか」
「そうなりますね。本日はどういったご用件でしょうか?」
「うーん、用件と言ってもな。何か変わった話がないか聞いて歩いていたんだが」
「変わった話ですか。……お客様のギルドランクを証明できるものはお持ちでしょうか」
「ギルドランクを証明するもの? 銀時計でいいか?」
「はい。それでは少々お預かりします」
俺から身分証でもある錬金術ギルドの銀時計を受け取った職員は、ギルドの奥へと向かっていった。
数分後に戻ってきたときは、もう一人職員を連れてきていた。
「君がこの銀時計の持ち主かね?」
「はい、そうですが。あなたは?」
「ああ、すまない。私はこの錬金術ギルドのマスター、ウォーレンというものだ。少々君達の力を借りたいのだが、話を聞いてはもらえないかね」
「まあ、話を聞くだけなら大丈夫ですよ。依頼を受けるかどうかは別ですが」
「ああ、それで構わない。それでは私の執務室に向かおう」
「ちなみに、ユキも一緒に行って大丈夫ですよね?」
「そちらのお嬢さんか。もちろん構わないよ。では、付いてきてくれ」
ウォーレンの先導に従いギルドの奥へと足を運ぶ。
おそらく特殊イベントだと思うが、さて、どんなイベントが待っていることやら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます