251.【防衛戦2日目】防衛戦2日目の開始
防衛戦2日目の朝、今日も普段より早く起きだして家事や朝食の準備を始める。
本日も遥華と一緒に家事の分担を行い、午前中のうちからゲームにログインする時間を確保する。
親からは『ゲームもいいけど程々に』とは言われたけど、今日でイベントも終わりなので見逃してもらった。
うちの両親も元ゲーマーだったので、イベント最終日の慌ただしさと楽しさは知っているのである。
だからこそ、そこまで強く言えない訳で。
朝食や家事が済んだら早速ログインすることに。
遥華の方は『今からできる準備はないし、午後からログインするね』と言っていた。
……確かに、パーティ単位で行動する戦闘職が午前中からログインしてもやることがないか。
白狼さんみたいにクランを率いているなら別だろうけど。
ともかく、午前中にやらなければいけないことは全てすませたし、早くログインするとしよう。
――――――――――――――――――――――――――――――
ログイン先は言わずもがなクランホームの方。
ログインしてメールの確認をしていると白狼さんや鉄鬼などフレンド数名からと運営からメールが来ていた。
フレンドから来ていたメールは、ダメージランキング1位入賞おめでとう、と言う内容が書かれていた。
……そう言えばランキング発表を無視して生産してたからランキングは一切見てなかったな。
そして、運営から来ていたメールはランキング入賞の賞品メールだった。
ダメージランキング1位の賞品は『好きな竜帝装備を2個★12最大強化済みオリジン装備で提供』という事だった。
……竜帝装備か、正直、そこまで使うとも思えないんだけどなぁ。
竜帝装備にあまり興味はなかったのだけど、もらえるものはもらわないともったいない。
オリジン装備らしいしもらうならライフルだろうな。
他の装備だと普通に今持ってる装備で事足りるし。
少しばかり時間を使って各オリジン装備のライフルを調べてみた。
性能としては攻撃力は似たり寄ったりでどれを選んでも大差なさそう。
問題は攻撃ヒット時の追加効果だよな。
輝竜装備は貫通ダメージの発生という直接的な効果だった。
だが、他の竜帝装備はそれぞれに関係したバステの付与である。
『火傷』『凍傷』『猛毒』はそれぞれ弱い行動阻害とスリップダメージの発生、『感電』は強力な行動阻害だ。
『呪い』は他と性質が異なり、MPに対するスリップダメージの発生と中程度の行動阻害、それからいくつかの効果の中からランダムで効果が発生という少しばかりギャンブル要素があるバステだ。
そんな中から選んだのは『猛毒』を付与する樹竜帝ライフルと『呪い』を付与する邪竜帝ライフルだ。
樹竜帝ライフルは単純に『猛毒』のスリップダメージが高い事、邪竜帝ライフルは『呪い』の効果によっては一方的な攻撃が可能になることだ。
それぞれの性能はこんな感じだった。
―――――――――――――――――――――――
樹竜銃 グランスナイプ・オリジン ★12
緑竜帝グランピアの素材から作られたライフル
緑竜帝の持つ猛毒の力を内包しており、
傷を与えた相手を猛毒にできる
装備ボーナスDEX+120
STR+40
攻撃属性:物理・土・樹木
攻撃時に中確率で『猛毒』付与
ATK+541 STR+40 DEX+120
破壊不可
譲渡不可
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
邪竜銃 カーズスナイプ・オリジン ★12
邪竜帝カーズドメアの素材から作られたライフル
邪竜帝の持つ混沌の力を内包しており、
傷を与えた相手に呪いを与えることができる
装備ボーナスDEX+120
STR+40
攻撃属性:物理・闇・死滅
攻撃時に中確率で『呪い』付与
ATK+520 STR+40 DEX+120
破壊不可
譲渡不可
―――――――――――――――――――――――
さて、賞品の交換も終わったしイベントサーバーに移動してポーション作成をしますかね。
イベントサーバーに移動すると、まだあちこちで作業が続いている様子だった。
西門の方ではいまだに門の修理をやっている様子が見受けられる。
他にも、戦闘系プレイヤーと一緒に生産系プレイヤーと思しきプレイヤーが東門側に向かっていくのを見かける。
おそらくは素材を取りに行くのだろう。
少なくとも俺には素材採取までしている余裕は無いので、さっさとイベントサーバーのクランホームに移動する。
クランホームに入ると談話室に難しい顔をした柚月がいた。
「柚月、今日はまた早いな。何かやることがあったのか?」
「ああ、トワ。やることと言うか、昨日の会議の議事録メールが流れてきてたんだけど、想像以上に揉めてたみたいでね……」
「なるほど、それは頭のいたそうな問題だな」
「まったくよ。……とりあえず、今日の西門の指揮担当は『ヴァルハラリーグ』に決まったらしいわ」
「へぇ。プロチームが直接指揮をとるのか。……それって大丈夫なのか?」
「どういう意味での大丈夫かしら? プレイヤーとして? 運営的な問題として?」
「両方」
「どっちも問題ないそうよ。運営とスポンサー契約をしてイベントに参加してるのは事実みたいだけど、特別運営側から動きを制限されるような事は無いみたい。同時に、運営からのバックアップもないみたいだから特別優遇もされていないらしいけどね」
「つまり実質的には俺達と同じ一プレイヤーでしかないって事か」
「そうらしいわね。だからこそ、プレイヤーの指揮官になるって言う真似ができるんだけどね。それでもギリギリらしいけど」
「……プロってのも大変だな」
「プロだからこそ大変なんでしょうけどね」
俺達には直接関係ない話ではあるけど色々と大変だったらしい。
「俺達に関係ありそうなところでの話は?」
「とりあえず、トワとユキには消耗品の生産を頑張ってもらうしかないわね。錬金術も使える以上、本当なら西門修理にもかり出されそうだったんだけど……」
「そんな事をしたらポーションの供給量が死ぬな」
「そう言う事ね。トワには調合士として頑張ってほしいみたいよ」
「了解。他の皆は?」
「ドワンはもうログイン済みで作業に向かってるわ。イリスとユキはまだログインしていないわね。午前中はログインしないのかも」
「その辺は個人の判断だからな。それじゃあ、俺はポーション作成で工房に篭もるから何かあったら呼んでくれ」
「わかったわ。それじゃあ、ポーション作成をお願いね」
簡単な状況確認を終えてポーション作成に入ることにする。
まずは圧倒的に供給が足りていないカラーポーションから始めることにしよう。
午前中に関しては全部の時間をポーション作成で潰してしまっても構わないかな。
午前中はポーション作成だけで潰して一旦ログアウト。
昼食をしっかりとってから午後のログイン開始だ。
ログインしてイベントサーバーに移動してクランホームに入ると、俺以外のクランメンバーが全員揃っていた。
「あれ、全員集合して何かあったのか?」
「特に何もないわよ。ただ、ログインタイミングが全員重なっただけで」
「そうじゃの。あえて言うならば、今日のポーションの配分をどうするかじゃの」
「ボクらは個人でもポーションを持っていかなきゃだからねー」
「私も今日は昨日より多めのポーションがほしいです」
「という訳だから、作戦本部にポーションを届ける前に個人で持っていく分は分けてしまおうと思ってね。トワも自分の分は先に持っていっておいて」
「そう言うことならそうさせてもらうか」
ポーション分配という事なのでクラン倉庫に入れておいたポーションを取り出して自分のインベントリに格納する。
俺自身はMPとSTの消費が釣り合いが取れている訳ではないためカラーポーションはあまり必要がない。
昨日持ちだしていた分もほとんど消費していないし、在庫の少ないカラーポーションは昨日消費した分だけ補充してあとはハイポーション系を多めに補充しておこう。
特にMPポーション。
今日も十二天将は連発することになるだろうから、MPの消費はかなり馬鹿にならない。
騰蛇にしろ朱雀にしろ、1回の使用でMP消費400とか洒落になってない。
STも消費するがそっちは50ですんでいるので、テンペストショットの回復と一緒にSTポーションですませてしまえるからな。
ポーションの分配が終わったら、俺とユキは消耗品補充の続き、ドワンは街門修理、イリスは防衛設備の作成、柚月は作戦本部にポーションを届けてそのまま作戦本部で打ち合わせらしい。
各自の予定がキッチリ決まっているのでそれにあわせて行動を開始する。
俺とユキは休憩を挟みながらゲーム内時間で8時間ほど消耗品の作成を続けた。
最後の方では流石にもうこれ以上ポーションを作るつもりにはなれなくなっていたぞ。
そろそろログアウトの時間なので柚月を呼び出してから談話室に戻る。
そうして、作戦本部から戻ってきた柚月に最後の消耗品を渡すことにする。
「……これで、本当に最後の消耗品納品ね」
「流石にこれ以上は作れないし作りたくもないぞ」
「私も流石に疲れました……」
「お疲れ様。それじゃあ、納品は任せておきなさいな」
「そうさせてもらうぞ。俺とユキは一度ログアウトして、決戦前に戻ってくるから」
「お手数ですが、お願いしますね、柚月さん」
「了解。ドワンやイリスもそろそろ落ちるって話だし、私もこの納品が終わったらログアウトして夕食の準備ね」
「それじゃ、お疲れ様だ」
「お疲れ様でした」
「ええ、お疲れ様。今日の防衛戦もよろしく頼むわね」
俺達は柚月に納品物を託してそれぞれログアウトすることに。
さて、夕食を食べたらいよいよ最終決戦だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます