102裏.とある運営管理室 2
本日2度目の更新。
今回は予告なしのサプライズ更新。
1話目がまだの方はそちらからどうぞ
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「……以上が
ここはUnlimited Worldの運営管理室。
今まさに
「ああ、わかった。それで、イベントの反響はどうだったのかね?」
「概ね好評だったようですね。もちろん、一部からは不満の声も出ていますが」
「不満か。どのようなものかね?」
「まずは武闘大会に参加出来なかった層から、別の形のイベントを用意してほしかったという要望ですが……」
「それは当然だろうな。今現在に至っても、日本という国ではPvPが盛んではないのだからな」
「これについては第二回大会を行うときに何か別の形のイベントを行うなどの対応をとるかどうかですね」
「それについてはまたいずれ考えるとしよう。複数のイベントを同時進行させる余力があるかも含めてな」
「それがよろしいかと。次に、マイスタークラスで本来は生産職でなかったプレイヤーが多数参加していた件ですが……」
「それは今回は仕方が無かったと言うしかなかったでしょうね。何せ第2陣も参加出来るようにするには、あれ以上の制限は実質不可能だったんですもの」
「そうだな。第二回大会以降はサブジョブが上位ジョブにジョブチェンジ済みという条件を課せばそう言った手合いは大分少なくなるだろう。もちろん全てを遮る事は不可能だろうが」
「そうですね。この件についても色々と策を考える必要があるでしょう。次は、エキシビションマッチが事前連絡なしに行われた件ですが……」
「うん? その件は誰からの問い合わせかね?」
「もちろん、エキシビションマッチの参加者からですよ。事前連絡なしで参加者が集まらなかったらどうするつもりだったのかと」
「それはそれでよかったのではないか?」
室長である榊原は事も無げに言い放った。
そもそもエキシビションマッチの開催自体、オープンクラスの前日に榊原の独断で決めたものであるのだからその責任は榊原にあるだろう。
「……あまりよくはないと思うのですが。結果的には盛り上がったので良しとしますが……あまりいきなりイベントを増やさないでください」
「そこは善処しよう。それで他には何かあるかね?」
つまりは自重する気はなさそうだ。
そんな認識が榊原以外の運営管理者に広まるが、とりあえずは無視する事にする。
……榊原という人物はこう言う人間なのだから。
「そのほかには……そうですね。マイスタークラスで賞品の上乗せをしてまで情報開示を迫ったのはやりすぎでないかという意見が出ていますが……」
「それも致し方あるまい。正直、この短期間でアダマンタイト製装備だけではなくミスリル金のレシピまで発見されていては先行者利益といってもあまりにも差が開きすぎているからな」
「それはそうなんですが……ですがゴールドチケットまで出したのはさすがに渡しすぎではありませんか?」
「逆を言えばシルバーチケット程度では情報を引き出せなかった可能性が高いだろう? 鉄鬼君はゴールドチケットを使ったことがあるのだからな」
「それはそうなんですが……鉄鬼プレイヤーは早速【鍛冶の極意】を覚えていましたよ?」
「確か『極意』系のスキルって生産品の品質が上がりやすくなるスキルよね? 大丈夫なのでしょうか?」
「それならばいいのではないか? むしろ運営的にはその程度のスキルで済んだことを喜ぶべきだろう?」
「ピーキーなスキルでしたらもっと上位のスキルもありますからね……ですが、ただでさえ最上位生産者の一人だった鉄鬼プレイヤーが、さらに上位のスキルを覚えたのは後々に大きな差になるかと」
「各種生産性上昇スキルについては後のアップデートで開放されるのだから、それまでのアドバンテージだろう。それに、もうすでに品質上限まで安定して作れているのだ。これ以上を作るには
「そう言う問題でもないと思うのですが……あとは、武闘大会に参加していなかったプレイヤーからスキルチケットの配布について不満が出ているようですが」
「それこそお門違いだな。各クラスの賞品については事前に公表してあったのだからな。それにスキルチケットの入手方法はきちんと別口で用意されているのだからな」
「その入手方法が、各種ボスの初撃破報酬であったりダンジョンやレイドの初攻略報酬であったりするために一般には情報が出回っていないのが問題かとも思われますが……」
「それも先行者利益の一つだろう? どちらにしてもゴールド以上のスキルチケットはレイドの初攻略報酬だ。一般には手に入らないものである以上、諦めてもらうよりほかないな」
「今後のイベントでも上位プレイヤーに配布する予定だと伝えればまた違ってくるでしょう。そのように取り計らっても構いませんか?」
「そこは任せよう。それで、他には何かあるかね?」
「あとは……イーブンバトルの仕様についてですね。『そもそもスキルレベルが大きなウェイトを占めているこのゲームにおいて、スキルレベルの差があるのに種族レベルだけ同じにしても対処出来ない』という意見が寄せられています」
「まあ、それはなぁ……」
「……そもそも、あの仕様自体がテスト段階のものだったしなぁ」
「それについては本実装までにもう少し公平になるように調整するしかあるまい。ただ、マイスターのように上位スキルを全て封印というわけにもいかないからな」
「そこは開発と調整して対応いたします。そのほかについては……細かくは色々とありますが大きなものとしては以上となります」
「わかった。それでは次の議題に移ろうか」
「次は今月のアップデート予定ですが……例のレイドはあのまま実装するのでしょうか?」
「例のレイド? ……ああ、あれか。特に問題はないと思うがどうかしたのかね?」
「いえ、レイドの難易度としては最上級未満という事で問題ないのですが……レイドエリアの発見に至る過程が難しすぎるのではないのですか? 条件を満たせるプレイヤーがそんな簡単に現れるとは思えないのですが?」
「それについてはしばらく様子を見るとしよう。2~3ヶ月経っても発見されなければヒントを追加する事で対処すべきだろう」
「それでしたら問題ありませんが……実際、サービス開始当初から実装されていてまだ未発見のレイドエリアも存在するわけですし」
「でも、そちらも今更発見されたとして簡単すぎるんじゃないかしら? レイドエリアとしての難易度は40でしょう?」
「そうなんだよなぁ……まさか、あのレイドが未発見のままこれだけ時間が経つとは思っていなかったからなぁ」
「それについては今後の検討課題だな。場合によっては一度封鎖して、レイドエリアの仕様を見直した上で再実装でもよかろう」
「……開発部隊からクレームが来そうですが……それも視野に入れて協議するとします。次は……」
こうして彼らの会議は続けられていくのだった。
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