第2話

――また。いったいなんなんの?


そして私はベッドを抜け出し、ベランダに立ちました。


ベランダに行くまでの記憶は、ほとんどありませんでした。


――ええっ?


私は誰もいないのに、まるで誰かに話しかけるように一人でぶつぶつ言うと、ベッドに入り、再び眠りにつきました。



次の日も同じことが起こりました。


午前四時に目覚め、気がついたらベランダに立っている。


そして次の日も。


さらに次の日も。


――もう、どうなってんのよ、これ!


引っ越すことも考えたのですが、マンションの家賃があまりにも魅力的過ぎたので、そのまま留まっていました。



そしてある日のこと、いつものように午前四時に目覚め、ベランダに立ちました。


しかしその日は、ベランダに立つだけではおさまりませんでした。


――えええっ!


気がついたとき私は、ベランダを乗り越えようとしていたのです。


すると何かが後ろから私の首根っこを掴み、後方へ強い力で引きました。


私は部屋の中に引きずり込まれ、そのまましりもちをつきました。


――?


思わず振り返りましたが、そこには誰もいませんでした。

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