詩人の広場 第三回 後編

さぁ、後編はりきっていきましょー!


帆場蔵人

草月玲・自薦:

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886917785/episodes/1177354054886917831 …(「詩集草月流」より)

ちはやふる・やまと


 千刃破ちはやふる

惟神かんながらの地 草木に 我が“あはれ”に足伸ばし

葦原の根付くここ山富やまと


 脚退あしびきの

山幾たびも 背に置きて 唾枯つかれてなおも 旅支度

冬向く秋か蜻蛉島


 鷹照らす

日を浴びれども 寒心 郷の身すらも爪痛つめたいか

此処路こころに振れる 掌たなごころ


 浅霞み

晴日木洩れば 誰そ彼たそがれと 仕合せなれど 来合せに

恥早降ちはやふる神のいたずらと問う


帆場蔵人

あ、ふりがな消し忘れた。


草月玲

ルビが多用されているので、なかなかこちらでは見づらいですね


帆場蔵人

ちはやふる・やまと

 千刃破

惟神の地 草木に 我が“あはれ”に足伸ばし

葦原の根付くここ山富


 脚退の

山幾たびも 背に置きて 唾枯つかれてなおも 旅支度

冬向く秋か蜻蛉島


 鷹照らす

日を浴びれども 寒心 郷の身すらも爪痛が

此処路に振れる 掌


 浅霞み

晴日木洩れば 誰そ彼と 仕合せなれど 来合せに

恥早降る神のいたずらと問う


しづき(失言工房)

こんどは一部送り仮名も消えましたねw


帆場蔵人

ありゃ?


しづき(失言工房)

大丈夫です。読めます読めます。


帆場蔵人

さきに作っておいたら良かったですね。


おきらく@雨いろプロジェクト

冒頭とラストでルビは一緒でも漢字が違うのが印象的ですね


しづき(失言工房)

この漢字の当て方って既出のものなんでしょうか。それとも、独創なんでしょうか。

既出→既存


草月玲

枕詞らしきものは、言葉遊びのようにつくってみました。


草月玲

ただ、つめたいの語源が「爪+痛い」ということで「爪痛い」になったとか、一部ややこしいのがあります…


帆場蔵人

千刃破る、は造語ですか。

山富も大和の造語?


草月玲

あ、語源は「一説にはそういわれている」程度のものだったと思います。おっしゃる通り、ちはやふるもやまとも造語です。


小林素顔

この作品は、七五調で綴って最後七七で締めたのは、どういった意図で?←鋭いご意見


おきらく@雨いろプロジェクト

心理に重きを置いたというより風景(場面)を描いて情緒的になった詩、というイメージです


しづき(失言工房)

親切にルビ振ってくれるのに、あきつしま はルビがないのは何かあるのかな、と思ったり。


帆場蔵人

蜻蛉島ね。


しづき(失言工房)

最初読めずトンボシマ? って思ってましたw


帆場蔵人

天武が歌ったんでしたか?天武じゃないか。古代の天皇が歌で読みましたねたしか。


小林素顔

カゲロウトウ って読んでました……w


しづき(失言工房)

教養が試される…


おきらく@雨いろプロジェクト

読み方まったくわかってませんでした(無知)


草月玲

蜻蛉島、確かに今思うと何でふりがなふってなかったんでしょう??? おそらく造語でないということと、読みを指定しなければいけない理由がなかったんだと。


帆場蔵人

景を詠んで情感を表現するのは俳句、短歌、などの定型詩では基本ですね。この作品も5.7調なので日本語がハマりますね


しづき(失言工房)

おきらくさん、意外

なるほど。


おきらく@雨いろプロジェクト

私は興味ある漢字しか見てないです(笑)あと俳句、和歌あたりはノーマークのど素人ですゆえ💦


おきらく@雨いろプロジェクト

読みを指定しなければいけない理由がない……なるほど。ルビって奥深いですよね。


草月玲

たぶん、私の好きな漢字が大和言葉で、おきらくさんの好みの漢字は漢語なのでしょうか?


帆場蔵人

あー、秋津島とか蜻蛉島は古代史で天皇制など調べると豊穣の島ということで歌が詠まれています。


ですね、漢語とヤマト言葉だと隔たりが大きいですから。


帆場蔵人

で、千刃破るですがどう意訳されました?みなさん。


しづき(失言工房)

なるほど、たしかにそういう違いはありそう。


おきらく@雨いろプロジェクト

んー、あまり分析したことはないのですが、どうでしょう。二字熟語が好きな傾向にはあります。


小林素顔

千刃破る という字面で、もう創作神話的な世界にひきずられてしまいましたね。自分の教養の無さが浮き彫りになる……。


しづき(失言工房)

もとの枕詞のちはやふるってそもそも意味的になんなんだろう。

開幕的な意味で「破る」に日本の大地を広く感じさせるその後の言葉と相まって開くイメージがつきますが、「千刃」を「破る」で神々のチート具合を感じる。


帆場蔵人

千刃破る、イメージとしては惟神にかかると考えてそれだけの力をもつ神がおわす土地?でしょうか。


おきらく@雨いろプロジェクト

千の、刃のように鋭い雨が地をうがつように降り、草木に恵みを与える的な意味で読んでました(ほんとこういう教養を試される詩には弱いです💦)


帆場蔵人

ちはやふる、は確か勢いのある川のイメージと当時の勢いのある氏氏族を意味してたかと。


帆場蔵人

落語のイメージが強いですね。


しづき(失言工房)

はあ、「ち」に水、水流の意味があるんですかね。


しづき(失言工房)

名古屋に鶴舞(元の読みはツルマ)のツルが水流を意味すると読んだので、和語のチ・ツ音には水のイメージがあるのかな。


しづき(失言工房)

あかん、詩の読解の手前で云々してるw



草月玲

いかづちとか、おろちとか、霊(ち)には「力」といったような意味もありましたが……、ここまでくると文学研究ですね


しづき(失言工房)

ああ、霊的なものか。水もその類に入ってそうかもですね。


おきらく@雨いろプロジェクト

言霊って存在していそうですよね。この詩はとてもそこを大事にしている印象です。


小林素顔

草月玲さんに伺いたいのですが、この詩の世界観としては、史実日本ですか? それとも創作世界ですか?


しづき(失言工房)

そう、一語一語がイメージを詰めた袋のように感じますね。


おきらく@雨いろプロジェクト

世界観気になりますね


帆場蔵人

あはれ、はものあはれ、で考えればいいのかな。

畏敬すべき神の力が土地に人にあまねく(足を伸ばし)行き渡っている豊穣の土地?


草月玲

古代日本の風景を想像していましたが、そこに日本とか、神話の「文化」を入れて考えるような事はありませんでした。面倒なことを吹っ飛ばして、ただ神と人が共存するようなファンタジー風景を想像したかったんだと思います。


しづき(失言工房)

なるほど、「あはれ」の感覚よく知らなくて躓いてました。


おきらく@雨いろプロジェクト

なるほど、幻想風景はとても素敵だとおもいます!!

いや、ファンタジーなもの好きなので……


帆場蔵人

古代大和的な創作の世界観。例えばもののけ姫とかの小説があれば冒頭に入れ込めそうな詩だなぁ。と


草月玲

馴染みのない古代の言葉を使ったのは、皆さんが率直に感じた感覚にすべてをゆだねようという一種の怠惰であったり……(笑)。


小林素顔

ファンタジックな世界観を伝えたい意図は強く伝わってきました。


おきらく@雨いろプロジェクト

怠惰ではありませんよ!

読み手にゆだねる、絶対の正解がないところって面白みだとおもいます。


しづき(失言工房)

意味がわからなくても韻の踏み方が、和歌(もあんまり知りませんが)っぽくて好きですね。「寒心」と「掌」とか「仕合せなれど来合せに」とか。


草月玲

ありでしょうかね。安心しました!


帆場蔵人

短歌の文字数の並びから外しているので、面白い趣きがあります。ありですよ。


草月玲

実は私も和歌に疎いので、詳しい方に突っ込まれたら赤面しちゃうと思います


帆場蔵人

大丈夫です、和歌は軽くしか詠んでないですから。和歌のイメージで新しいものを構築したということで。


おきらく@雨いろプロジェクト

神という概念と自然という概念がよく共存できている詩だなぁとおもいました。

草月玲

なんかあったら「和歌という形をもって詩を書いたらどうなるかの実験」で通用しますかね(^^)


草月玲

おきらくさん、神話大好き人間の私としてはとても嬉しいです!


おきらく@雨いろプロジェクト

神話お好きなのですね。私のフォロワーさんにも日本神話や聖書に詳しいかたがいるので、ご紹介しましょうか?


おきらく@雨いろプロジェクト

完全なる脱線で申し訳ない


しづき(失言工房)

一連目で舞台を設定し(開い)て眺望的開放的なイメージから、「脚退き」の二連目で旅人のミクロな視点に移行する感じ好きです。そこで冬を匂わせて、三連目の「寒心」「爪痛い」に、冬の日差しのあの感じというか、旅路にあって「此処路」もいいですし韻を踏みつつ「掌」は温みに変わるのも面白い。


4連目だけ文意をとれてないです…


帆場蔵人

千刃破ると恥早降るは、始めと終わりで対になるんですね。

最初の句は国土の景を読み、二連目は旅人の、て湿原さんにほぼおなじく 笑笑


草月玲

(おきらくさん≫そうなのですね。またDMとかで紹介していただきたいです!)


おきらく@雨いろプロジェクト

おぉ、しづきさんの読み、とても好きです。私はぼんやりとしてしかとれなかったので。

(草月さん。りょうかいです!)


小林素顔

すみません一旦離脱します。そのままフェードアウトかもです。それでは……


おきらく@雨いろプロジェクト

それではですー。

あ、私はいますよ!


しづき(失言工房)

素顔さん了解です。


草月玲

了解です。


帆場蔵人

四連目は黄昏の語源の誰彼が出てきますね。霞のなかに差し込む木漏れ日

(素顔さん了解です)


しづき(失言工房)

高校の国語で習って「~銀杏散るなり夕日の岡に」ってのの、遠近の対比を説いてくれた授業があって、そういう対比の世界に近いのかなと。


帆場蔵人

行き会うものとの縁をおもう、歌ですかね。


しづき(失言工房)

来合わせというのは、たまたまに、という意味ですかね。


草月玲

!誰そ彼→黄昏 読み解いていただけて感激です!


しづき(失言工房)

朝のカワタレは彼は誰ですよね。


おきらく@雨いろプロジェクト

誰そ彼、風情のある表記ですよね。

かわたれもいいですよね。(つい忘れちゃうけど💦)


草月玲

反意語があったのですか! メモメモ


しづき(失言工房)

仕合せは幸せというより為合わせ、行い合わせみたいなことなんでしょうか。


しづき(失言工房)

草月さんって結構教養を隠してる人な気がして、なんか気が抜けない感じw


帆場蔵人

そうそう、それはあるw

三連目の掌の使い方が良いなぁ


しづき(失言工房)

うん掌いいですよね。


おきらく@雨いろプロジェクト

掌好きです。


帆場蔵人

たなごころ、

からごころ、

まごころ、


帆場蔵人

大和心をさす、まごころとも通じているように感じます。

草月玲

いえ、おそらくたまたまですよ。興味のある話題なら普通よりは知ってるなってだけです。たなごころ、何で掌に「こころ」があるか気になってます。


おきらく@雨いろプロジェクト

いま大辞林見たら手の心の意って書いてました。たなごころ。


草月玲

手の心、ですか。中心といった意味でしょうか。このネーミングセンスを見習いたいです


しづき(失言工房)

こころという概念自体けっこう沼ですよね。沼というかなんというか。その物の本質(芯)みたいな意味でも使いますし、運行が円滑であることなどでも使いますし。


帆場蔵人

中心をさす言葉ですね。


しづき(失言工房)

ロダンの彫刻的な。


おきらく@雨いろプロジェクト

手の中心……しっくりきますね


帆場蔵人

大和心は本居宣長が書いたものですね。良きに連れ悪しきに連れ、心がしっかりと動いているさまをさす、だったか。詩はまごころかなぁ、と。


しづき(失言工房)

温みのイメージにココロの音が心地よい。寒心は寒中に身を置いて震えるイメージがあって、この詩では体温と相関があるように感じましたね。


帆場蔵人

はい、言葉としても心がかさなり音にも現れていて印象的です!


しづき(失言工房)

個人的には「たな」の意味のほうがよく分からないですね…w


しづき(失言工房)

ああ、手の、か


草月玲

たぶんそうですよね。古事記に手名椎(たなづち)ってでてきます。


しづき(失言工房)

当て字面白いからやりたいけど、なかなかいいの浮かばないですね。


しづき(失言工房)

ほうほうメモメモ


おきらく@雨いろプロジェクト

手=たな、で覚えておけばいいのでしょうか。ためになります。


しづき(失言工房)

「絶え間なく」も「手得間なく」とすれば、手にとれる猶予もなくってイメージを植えつけられるかなと今思いついた。


おきらく@雨いろプロジェクト

おぉ! たしかにです!


帆場蔵人

なるほど!

この形式の作品、流行らせたら面白い、と思う。当て字は結構、ありますよね。


しづき(失言工房)

八釜しい的な当て字ですねw


草月玲

当て字仲間増やしたいです(笑)


しづき(失言工房)

八つも釜ありゃ(鳴らせば)やかましいだろうって聴覚的にきますもんねw


草月玲

五月蠅いより実感が湧きます


帆場蔵人

カクヨムだと和風ファンタジーで繁栄しそうだな。日本の当て字はその感覚な気がします


しづき(失言工房)

訓読自体が当て字という認識なのでもっと、当て字の数は増えるとイメージが豊かになりますね。


帆場蔵人

タバコも多葉粉じゃなかったかな


しづき(失言工房)

逆に漢字に追われて隣り合った音=意味世界が漢字憎い感じ


おきらく@雨いろプロジェクト

おー、タバコも当て字にするとちょっとイメージ変わりますね。


しづき(失言工房)

逆に漢字を当てながら訓読に着目すると広がりが見える風もありますが。


帆場蔵人

中華から入ってきたらとりあえず当て字をしてたのかな。


しづき(失言工房)

八釜しいとかは夏目漱石あたりがやったと聞いたような(合ってるか知らない)


しづき(失言工房)

夢野久作の当て字好き。


おきらく@雨いろプロジェクト

夏目漱石は文章のリズムが独特で好き。


帆場蔵人

和風ファンタジー創作ガジェットとして普及させますか。お好き詩をお使いください、と書いて。漱石やら落語家あたりはやりそう


小林素顔

まだ開いてるかと覗いてみると、

そこは教養の宝石箱だったようで……

ただ今戻りました


しづき(失言工房)

意味本位に漢字を当てたんですかね最初は。でも古代の漢字って和語との連結が定まってないイメージ。万葉仮名とかはまたちょっと違うと思いますが。

帆場蔵人

漱石は元祖ライトノベル(軽妙であるという意味で)と昔、よんでさましたね。今では呼んだら叱られるな。


しづき(失言工房)

素顔さん尾河恵理那些依(おかえりなさい)


おきらく@雨いろプロジェクト

漱石は一部をのぞいて読みやすいですもんね。


草月玲

小林さん、詩人らしい華麗入り方されましたね😄 (当て字!


帆場蔵人

そのあたりの連結は明治で繋がりが破壊されてるから、わかりにくい。


夜露死苦←彼らもある意味、新たな創造者でありながら大和に根付いていたのか


しづき(失言工房)

漱石の小説の冒頭はキャッチ―で読もうとするけど(草枕とか)読書の体力的に途中で止まるw 芥川が短編作家で助かるw


帆場蔵人

とりあえず後、五分で掲載部分は切りますね。その後はフリーで!


小林素顔

長歌ですと高橋虫麻呂という人の歌が万葉集にありますね。今回の作品とも通じるものがあるかも。


しづき(失言工房)

ほうほうメモメモ


草月玲

思えば、日本語にひらがなカタカナがなかった時代、私たちの祖先は究極の当て字「万葉仮名」を使っていましたね……。


帆場蔵人

えー、草枕なんて何処からよんでも楽しめません?

虫麻呂、初耳だ。万葉集は把握しきれない。虫、。。名前は忘れないな


おきらく@雨いろプロジェクト

草枕は文章がうつくしいのでどこから読んでもおいしいですね。


おきらく@雨いろプロジェクト

あと寝落ちしそうなので、寝落ちする前にみずから落ちます……。

おやすみなさいですm(__)m


しづき(失言工房)

吉野朔実も「人間の苦悩を楽しく読ませるエンターテイナー」と漱石を評していましたね。どうも私には圧が高くて居つけない感じですかね。読み始めたのが結構遅くて、小説読むのがむずかしくなってきた時期でもありましたから。。。


小林素顔

おやすみなさい、今日はありがとうございました。


帆場蔵人

ちょうど三十分、おきらくさん、おやすみなさい💤


しづき(失言工房)

おきらくさん、おやすみなさい


草月玲

了解です!


帆場蔵人

夢十夜あたりなら詩を読む感覚で読めますよ。


帆場蔵人

では、ここまで掲載でおつかれさまでした!




さて詩人の広場も第三回を終えました!楽しんでいただけているでしょうか。今回から小林素顔さんも加わり、またにぎやかになってきました。感想会の予定は後、一回なのですがまた企画なども練っていますのでお楽しみに!

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