詩人の広場 第一回 後編

 前編から足をお運び頂いた方々、まことにありがとうございます。後編から入場された方、こちらから読んでも大丈夫ですが、ぜひぜひ前編からお読み頂けるとさらにお楽しみ頂けることでしょう。


ではでは詩人の広場、第一回の後編のはじまり、はじまり。


※湿原氏の表記が失言に変わっていますが、ツイッターアカウント名通りであり、誤表記ではありません。


<帆場>

では湿原氏の知的な作品の後に恥ずかしいですが、頭空っぽな帆場の作品に参りたいと思います。湿原さん、ありがとうございました。

では、

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885322352/episodes/1177354054886987824

詩集眼ざしに宿るもの    作・帆場蔵人

『アップルパイ屋のひとり言』 


まったく、きみという奴は

勇み足でおっちょこちょいだね

まだ生まれてもいない娘の

嫁に行く日を想って泣いて

誕生日を祝うために二年後の

ケーキを予約して

パーティグッズを鼻唄混じりで買ってくる

まだ名前だって決まってないのに

ケーキになんて名前を入れればいいのさ

うちはアップルパイ専門なのにね


まったく、きみという奴は

明日には孫の名前でも相談に来そうだね

長らく甘い菓子を売っているけど

きみたちの幸せの甘さには、少々、

胸焼けがするよ


その日が来たらぼくは皆んなに

この胸焼けを別けるとしようか

こんな風にね


さぁ、さぁ、通行人の皆々様

今日はまことに

めでたい日でございます

この町に素敵な仲間が産まれました

幸せのお裾分け、皆々様でこの甘さを

分けあって胸焼けしようじゃありませんか

アップルパイにアップルダイザーを

お持ちください

それからこの幸せな

男の顔をみてください

鼻の穴をおっぴろげて

顔なんか林檎のように紅い

今にも熟して落ちそうじゃないですか

ほら、小さな生命の火が眼の奥に

胸の奥から柔らかな香りが漂ってきましたよ

皆々様の優しさに火が灯って参りました

それをわたくしは胸焼け、と呼んでいます

優しさがジリジリと炙られて幸せに

ローストされていくのです


朝焼け、夕焼け、胸焼け

みなみな、美しいものなのですよ

どうだね?

きみは町中の人を胸焼けにしてしまうわけさ

まったく、きみという奴は

とっとと帰っておととい来やがれ


<オキノ>

また事前感想から打ち込んでいきますね……


<帆場>

ちなみに諸事情で題が変わっています。おきらくさん、どうぞ


<オキノ>

「アップルパイ屋のひとり言」

非常にあたたかな詩だと感じました。

まず冒頭で「きみ」の微笑ましいほどのおかしみが軽快に描かれていますね。

ここでお上手なのがあえて情報を後にだす――つまり後でアップルパイ専門店であることを示している点です。冒頭の構成が非常にお上手です。

また「胸焼けがするよ」「胸焼けを別ける」というくだりのさきに、みんなの優しさに日が灯ることを胸焼け(意訳)と詠むことで、「ぼく(わたくし)」がとても幸せな気もちに浸っていることがじんわりと読者にも伝わってきます。朝焼けや夕焼け……自然と並列する、同等に扱っているのも面白みの一種ですね。

全体的に、用いる言葉が素朴でかつ言葉の羅列がうつくしく感じられました。他薦の「言葉を覚える」とは対照的な雰囲気だとも感じましたね。


<帆場>

湿原さんと、同じく一読者として観たいと思いますが、なかなか難しいですね。


<失言>

この詩、私はなかなか言葉にならないんですよね。胸やけが否定的な意味から肯定的な意味に変換されるというのが、この詩の面白味ですね。


<草月>

この詩、私がファンタジー好きだからかもしれませんが、どうも中くらいの城下町のアップルパイ屋がとなりの鍛冶屋さんとか、魔法道具屋さんの微笑ましい幸せを表現しているようにおもえました。

「胸やけ」ってワードが、私にも刺さりましたし、キーワードのようなものなのかなとほんわかに思っています。


<草月>

ほんわかと、ですね


<オキノ>

皆んな、皆々様、みなみな……それぞれで漢字の開きかたが違うのが好きですね。小説と違っておよそ表記統一にとらわれない感じが、のびのびとしています。


<帆場>

そうですね、湿原さんの言われるように意味の変換を意識しました


<オキノ>

草月さんのご意見とてもわかります。ファンタジーな連想のあたりです。


<帆場>

草月さん

実は他のところでも、これって日本じゃないよね。と言われました。鋭い、、


<失言>

まだ生まれてこないうちから生まれたあとのことを先読みしている冒頭が個人的には一番好きですね。


<帆場>

こういう語りの詩だと大袈裟なくらいが良い匙加減になりがちなんですよね。

やり過ぎると滑稽に堕する。ポエミーと呼ばれてしまいます。


<失言>

いちばん解釈に困ってるのは、最終行の「とっとと帰って、おととい来やがれ」なんですが、胸やけの意味をひっくり返すのと対応してる感じする、くらいの感想でほかの方の感想が聞いてみたい


<帆場>

表記の統一がされていないは多分、詩の主体が語っているからですね。話し言葉って感情の波があるから、一定じゃないと思うのです。詩の言葉も然り。


<失言>

あ、あと、筋肉少女帯の「トゥルーロマンス」という歌の雰囲気に

似てるとか思いましたw 2人を祝福する町の人が同じだなぁとw(雑な感想ばかりですみません・・・)


<帆場>

筋少!大ファンでした。

さて、最終行。皆さん、どう捉えたのでしょうか。

ちなみに他の詩を読んだ方から筋少、気に入られると思います!ぜひ聴いてください!

とコメントが。いやぁ、実は良く聴いてたんだよね、、


<失言>

むしろ影響下にあるというw


<オキノ>

全体的にやわらかで、それこそアップルパイのようにあたたかい詩だと感じました。ひとの感情にうったえかけてくる詩だな、と。そうおもった次第でございます!


<帆場>

ドルバッキーとか。グミチョコレートパインとか小説も最高!

たぶん、おきらくさんや草月さんは知らないのではないだろうか。


<草月>

そうですね。しりません(笑)


<帆場>

大槻ケンヂというヴォーカルが有名な特異なバンドです。歌は下手だけど歌詞が良い、或いはぶっ飛んでる、と布教はこれぐらいにして戻りますか。

皆さんはポエトリーリーディングとか、詩の朗読動画とか観られますか?


<失言>

歌は「香菜、頭を良くしてあげよう」がお勧め(紹介)


<帆場>

湿原さん

もふもふとジャムパン、てマイナーなw


<オキノ>

すみません、知りませんでした。

見たいけど見てないですね……詩の朗読……。


<草月>

詩の朗読はみませんね……。そういうものがあるのも知りませんでした! 興味あります


<失言>

私は聞きますね。詩のボクシングが初めて聞いた詩の朗読じゃないかと思います。


<帆場>

ポエトリースラムジャパンだっけ?詩の朗読大会があるんですが。

→大島武夫氏 『ハムを買ってください』 是非、お聴きください

https://www.youtube.com/watch?v=sQS6AV2sNuY&app=desktop


笑いあり、涙あり、訴えかける語りなんですよね。ぼくのこの詩は、これを観る以前に描いていたのですが、こんな語りかける詩が描きたいと言うのがあるんですよね。

後、寅さんの口上とか。

おきらくさんが書かれたように感情に訴えかける語り口をイメージして描いて、読みあげしています。


<失言>

ああ、なるほど。腐る前のハムがすなわちこれから生まれる子。いまここにないあった者、これからある者に対する情感。


<草月>

まさに「語り」ですね! 確かにこういったものを書いてみたいです。


<草月>

読み上げられるのを意識してかくと、すこしは近づけることはできるのでしょうか


<オキノ>

言葉の音とかは気をつけているつもりですが、実際心地よいものになっているかはわかりません、わたしの場合💦


<失言>

ここにないまだ生まれていない子を、胸焼けの否定的なニュアンスを肯定的なニュアンスにし、反語によって、あるとないもひっくり返して、生まれたものとして後半の祝福がある。最終行も祝福の言葉になる。

これは「逆しまさかしま」(フライング)


<帆場>

草月さん

ぼくは詩は読み上げるものだと思っているので、どの詩も声に出しています。

近付けるかは詩風がそれぞれなんで語りもさらに広がるかと思います。


<失言>

子のある/ないがひっくり返る、がこの詩の核心とたったいま感じました。


<帆場>

おきらくさんの詩は言葉がまろやかだったりと工夫があって味がありますよね。読み上げる場合にも良い作用がありそうです。


<帆場>

湿原さんは流石というか、ぼくの思惑を越えて詩が拡張されていく^^;


<草月>

詩=読み上げるものという感覚でみれば、確かに音読は必要不可欠なものなのですね。考えれば、読者さんも「音読」しているかもしれないので、それに耐えうる作品を作りたいです


<草月>

私も皆さんの詩を読んでいると、意識の拡張のようなものを感じます。


<オキノ>

自分にはない感性に触れられてみなさんの詩を読むのはそれぞれ楽しいです。


<失言>

たぶんこの私の読み方は、たまの「でんちう」とか「電車かもしれない」から来てます。


<帆場>

なるほど、さて後、十分くらいかな。ラストまでになんでも受け付けております。


<帆場>

付け加えるとしたらこの詩の世界は日本ではない、ここではないぼくが観ている何処かの町角のように思います。様々な人々が生活していて、その中からアップルパイ屋が呟いているのを受信した、

電波な人かぼくは。


<草月>

舞台はとにかく日本ではないな、という印象があって、そのふわふわ感が私二は新鮮で面白かったです!


<失言>

タイトルが変わっているわけですけど、「独り言」というのがいいですね。退店していく「きみ」の後ろ姿に、手元に残った予約表? に聞かすでなく語りかけるようです。  ※初期タイトルはアップルパイの美味い店で


<帆場>

そうですね、独り言が初期タイトルで、やはりこちらが顔に相応しいかな、と直しました。で、正直、こう言った詩はポエムと詩の境界上にいる気がして書いて投稿するときは常に葛藤です。


<オキノ>

帆場さんの自薦ということもあって、詩として構成力の高いものだと感じました!


<失言>

まぁ筋少が好きだった帆場さんは幾分電波を受信できそうですw


<帆場>

ありがとうございます。

まぁ、詩を書いてるとままあることかもしれない。まさか、詩を読んで予備知識なしで筋少を進められるとは。

構成力は自信ないですね。長い詩、苦手なんですよ。ワンテーマで書いてたら色々、含まれてきた、みたいな感じですね。


<失言>

ワンテーマで書いてたら、っての分かりますね。連想が連想読んで、詩の中の景色が多重的になっていく。


<オキノ>

うまく構成なされていたとおもいます! 素人意見ですが💦

ただ構成力に自信がない気持ちはわかります。私もそうなので!


<帆場>

後から気づきますね。多層化。

たぶん、十描いて破棄しない1の詩は多少ましなのですね。そのために推敲で自分を追い込んでいくw


<草月>

私は詩を書いていると、どうしてもかきたい主張のようなものが一つにかたまって出てきてしまうので、そういうところも直したいんですがなかなか……(^^; 風景というか、モチーフのようなものがころころ変わって忙しい!とかも困りますね


<帆場>

ぼくもありますね。これが!てなる。ただそういう時はなかなか書けない。

さて、後数分ですね。

カクヨムに載せるに当たっては誤字や前後のチャットの流れがわかりにくいところは入れ替えたいと思います。←これに関しては誤字のみ修正


<帆場>

中々ない機会で新鮮でしたね!


<オキノ>

新鮮でしたねー。いい刺激になりました!


<失言>

ワンテーマを詰めていくっていうのも、好きですね。長い詩はロードムービー的というか、通ってきた詩行を街並みのように思い返しながら迎える最終行、そんなのが好きですね。


<草月>

こういう機会はおっしゃる通りなかなかないものですから、新鮮である共に多くの知識を分けていただいて、また意見もいただけて嬉しい限りです。 すべてを思い返す最終行! いいですね~!


<帆場>

最終行ですとん、と腑に落ちる作品がかけたら気持ちいいだろうなぁ。


<オキノ>

最初と終わりは大切ですからねぇ


<帆場>

楽しんで頂けたようでなによりです。


<失言>

それぞれの感じ方を知るのはやっぱり面白いです。話しているうちに詩がその表情を変えていって。


<帆場>

新たな顔が見えてくる。

さて、そろそろ良い時間ですね。非常に興味深く楽しい時間でした。

次回はまた調整しますが、次は私の!という方がおられたら伝えてください。

楽しみだ。


<失言>

けっこう時間の経つのが早く、なかなか焦りながら喋ってましたw


<帆場>

ですね、時間延び延びでした。では今夜はこの辺りで。

皆さんありがとうございました。お疲れ様でした!


<失言>

ありがとうございました、お疲れさまです!


<草月>

はい。今回はありがとうございました! 私も終始焦りっぱなしでした(笑)! お疲れ様です。


<オキノ>

ありがとうございましたー! 楽しかったです。お疲れ様でした


<帆場>

いやぁ、初めての試みは楽しいです。

では、では、皆さん、良い夢を。おやすみなさい。

→時間にして二時間半でした


<オキノ>

おやすみなさいでーす


<草月>

本当にいい夢が見られそうです













……さて、皆さん退室されましたね。

いかがでしたか?詩人たちの語り合い、楽しく読んで頂けたなら幸いでございます。第一回、と題打っているように第二回もすでに予定しております。次回は湿原工房氏の自薦・他薦作品をお送りします。おっと、お代は結構。次回も読んで頂けたならそいつをお代にまた広場に詩人たちは集まるでしょう。

ではでは、次回にまた広場であいましょう。

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