18話


 立ち上がったグレンはもう一度露台へと出ていき、その手に灯した魔力で魔法陣を描いた。

 古代文字とともに詠唱文が陣のなかへと書かれ、魔力が宿っていく。それは禍々しい光を放ちながら、今か今かと術の完成を待っているかのようだった。



 時間にしてわずか数分のことだった。最後の古代文字を陣に刻むとグレンは一言告げて嘲笑う。 







「"起動"せよ、我が術式。―――『漆黒封域ノワルコペルティジオレガメント』」







 魔法が動き出した。魔法陣から現れた黒い霧はふわりと消えてなくなるものの、見えない場所から壁をつたって地面へと沈み込み、そして。










 カチン。

 上空でなにかに鍵をかけた。

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