時代遅れの殺人

オドラデク

ノイズチューニング

 私の通っている傘増高校で殺人事件が起こった。被害者は学校の生徒で犯人はまだ捕まっていない。



 今日もいい朝だ。いや悪い朝だ。私の名前は無詩貝栞むしかいしおり。普通の高校生だ。

 私は机の上に置いてあるカードにおはようと挨拶をして学校に行く準備をした。


「学校で殺人事件だって」

「いつも通りだね。朝食にしよっか」


 このしゃべるカードは私の友達の黒音くろね

 ブレイクカードという正体不明のアプリゲームの特典でついてきた存在で、私の恐怖を具現化した象徴を身に纏っている。


 だから、学校の、制服。


「いつも食べるの早いね」

「テレビ見て食べてないから」


 天気予報と星座占いという犯罪を見せつけられないだけでも気分が良くなる。報道するのは連続殺人だけにしてほしい。


「ごちそうさま」

「出掛ける前にちゃんと歯を磨きなよ。人間を殺すのに支障をきたすかもしれないから」

「わかってるって」


 いつも通りの会話だ。ほっと安心する。

 忘れ物がないかを確認する。デッキのカード、ナイフ、スマホ、あとその他。


「じゃいこっか」

「うん」


鍵を閉める動作をして家を出た。

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