第97話 トラブルラッシュ



「お兄ちゃんも頑張ってたんだね。もっと色んな話し聞きたいなぁ」


 興味をのぞかせた台詞は、段々と小さくなっている。

 そうは言ったものの、らいかはすごく眠そうだった。

 無理もないだろう。

 今までいた世界とは違う常識の世界に来てしまったのだから。


 僕だってこの世界は、デスゲーム化した初日は凄く疲れたし。

 慣れない事ばかりで疲れるのは誰だって同じだ。


「そんなのいつだってできるだろ。これからは……。もう寝ろって」

「うん、お休み」


 意外にも聞き分けよくあっさり返答したらいかは、数秒後に眠りに落ちたらしい。


 寝息を立てるとか、寝言を言うとかいう所までは再現されていないので、寝たふりをされたら判別がつかないのだが、たぶんそんな演技はしないだろう。


「はぁ、今日一日で色々な事があったなぁ」


 シロナがやってきて、朝食食べてってところまでは割と普通だったのに、レベリングの話を聞いた時から雲行きがあやしくなったのだ。


「何かまた巻き込まれそう」


 らいかが引っ張って来る厄介事は仕方ないと思えるけど、今回はシロナ方面でも問題が起きてる。

 トラブルは重なってやって来るっていうけど、ほどほどにしてくれないと引きこもりのメンタルが持たない。


「明日はどうしようかな。らいかにまずルールの説明とかしないとだし……」


 頭の中に翌日やる事リストを上げて行きながら、先行きの暗さにげんなりしつつ、僕も眠りに落ちていった。


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