第93話 救援チーム



 とりあえずらいかからその事について説明を受ける。


 開発したゲームのデスゲーム化を受けて、スタッフ達は真っ先に救助チームを編成したらしい。


 けれど、ゲームプログラムの解析に力を入れるものの、作業は遅々としてまったく進まず。

 システムに介入する事ができずに困り果てていたようだ。

 肝心のデスゲーム化を止める事ができなければ、データの一つも改ざんできないありさまだ。


 それで切羽詰まって来た彼らは、恥を忍んで世界中のあらゆる国・人に協力を依頼する事にした。

 スタッフの一人が私財を投じる形となって、事態解決に貢献した物に賞金を与えるとか言ったらしい。


 それが功をなしたのか、今まで世の中の表にでてこなかったようなハッカーやプログラマーが解決に名乗りをあげはじめた。


 そこからの進捗はなかなかのものだったようだ。


 今まではにっちもさっちもいかなかったが、彼らの努力によって、徐々に内部の様子が把握できるようになり、とうとう新たな人員を内部に派遣することができるようになった。


 そのメンバーは、通常の開発スタッフ数名と協力者数名、そしてデスゲーム化で仮想世界に捕らわれた要救助者の家族及び知り合い数名だった


「なるほどね。つまりらいかみたいなのは、プレイヤーと救助チームの橋渡しみたいなもの?」


 僕がそう尋ねればらいかは頷いてみせた。


「たぶんそんな感じじゃないかな。今まで何もしてくれなかった外の人達がいきなり現れたりしたら、中の人達も混乱するだろうって言ってたし」


 混乱するどころじゃなくて、怒り狂うだろうね。と述べるのはさすがに自重しておいた。

 らいかにとっては恩のある相手なのだろう。

 心配するような表情で、他の救助チームの事を案じている。


 目の付け所としては悪くない。

 被害者寄りのらいか達が協力する事によって、衝突を緩和できるだろうし。

 らいかが来たんじゃなかったらそこそこ賞賛してただろうね。


 だが、忘れてはいけないが、まだまだ判明していない問題が残っている。


「で、結局他のスタッフ達は来れたの? 何であんな空から降って来る事になったんだよ。へたしたら死んでたぞ」


 僕達と同じようにらいかもライフの消失で死亡というルールが課せられていたとしたら、大変な事になってしまっていたかもしれない。


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