第10章
第91話 無味無臭で悪かったな
人気の観光地という事もあって、らいかの事を目撃したプレイヤーは少なくはないはずだ。
僕は面倒な騒ぎになる前にその場から撤退する事にした。
何が何やらという表情をしたシロナと一緒にプレイヤーホームに帰る。
辿り着いた我が家の扉をあけると、家主より先に入る我が妹。
「ここがお兄ちゃんの家? センスないね。何だか内装も味気ないし」
「悪かったな、無味無臭で」
キョロキョロと周囲を見回して家の中を探索しようとするけど、阻止。
らいかの首根っこをつかみ、リビングへ連行。
そこには、もともと自分の分しかなかった椅子と、どっかの部屋から引っ張り出してきた椅子しかなかったので、まずらいかに座らせて事情を聴く事にした。
誰と誰が座るためのイスだって?
そんなの決まってるじゃん。
わざわざ言わせないでくれる?
って、誰にいいわけしてるんだよ。
シロナに視線で座ったらどう、と言ってみるも彼女は首を振って辞退。
「で、何でらいかがここにいるの? 詳しい事情教えてくれる?」
目の前にいる少女が僕の妹だという事はすでにシロナに話してあるが、行ったのはそれだけ。
だから込み入った事を聞くのはこれからだ。
あらためて問いただすと、らいかは真剣な表情になってこちらに向かって口を開いた。
「えっと、お兄ちゃんたちがこの仮想世界に捕らわれた後、向こうでは色々な事があったんだ」
そこで、妹の口からデスゲーム開始後の世間の動きや、ゲームに捕らわれたプライヤーたちに向けた健康管理等の医療フォロー、死亡時の保証について一通り聞かされる。
あとは、僕の家族の様子なんかも。
とりあえず僕達の体がぞんざいな扱い方をされているわけではないという事が分かったので、今はさっと聞いておく程度だったが。
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