第77話 シロナの成長



 ぽこぽこ杖で叩いてるだけじゃ、敵は倒せない。


 えいやえいやと一振りごとに、決死の表情で攻撃しているシロナの様子が、なんだかとてもおかしくて笑いそうになるけど、本人は真面目なんだから我慢する事にした。


 連続攻撃が途切れた後、カマキリンが目を回しているのを見て、シロナはさっと後退。


「水よ。荒れ狂う渦で敵を呑み込みたまえ!」


 そして、アクアトルネードの魔法を使用した。


 大きく出現した水の渦にまきこまれて、ぐるぐるまわされたカマキリンは、あっというまにダメージを負って、ライフを消失。


 ポリゴンの欠片となって、その場に霧散した。


「や、やりました! ニルバさん」


 はいはい。

 見てた見てた。


 そこでぱぁぁ……、なんて効果音がつきそうな顔になって、こっちを振り返らないでくれる?

 なんだか、雨の日の段ボールに捨てられてた子犬に懐かれてる気分になるから。


「どうでしたか?」

「モンスター一匹倒しただけでしょ」

「そ、そうですよね」

「時間かかり過ぎだし、がちがちに緊張しすぎ。動きがちょっと硬かった」

「はい……」


 厳しめの採点をしたら、しゅんとなって落ち込むシロナ。

 ちょっと言い過ぎたかな。


「でも、まあ前と比べたら格段に成長したんじゃないの?」


 だから一応、そうフォローをいれておく事にした。


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