第76話 声かけるの?



 それからもあれこれ、シロナのステータスの伸び具合について話していると、すぐ傍に気配。


 近くにモンスターが湧いたようだ。


 相手の姿を確認すると、ここではメジャーなモンスターだった。


 カマキリン。


 カマキリなのか、キリンなのかよく分からない名前だけど。

 カマキリ8で、キリンが2の割合でできた生物だ。


 全体的なフォルムはカマキリ寄りで、スマートな体つきをしている。

 でも、首(?)らしき部分が長くてキリン模様なので、目がチカチカするのだ。


 身動きするときは、羽を動かして跳躍。カマで攻撃してくる。

 サイズはだいたい、この仮想世界では小さめの、全長30センチくらいかな。


 一匹では対して脅威にならないけど、まとまった群れで襲われるとちょっとまずい。


 草っぽいタイプの相手には炎属性での魔法攻撃がよく効くのが特徴。


「まあ、これくらいなら、シロナの魔法でも大丈夫かな」

「が、頑張ります!」


 前に出たシロナがおっかなびっくりと言った様子で、カマキリンと対峙する。

 初めての交戦でもあるまいし。


 ひょとして、コーチの前で緊張してるとか?


 シロナは声をかえて、杖を振り回す。


「いきますよっ、えいっ!」


 ……って。

 どこの世界に、攻撃相手に「いまから攻撃しますよ」って声かける人間がいるんだよ。


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