第65話 仕返し



「炎属性の魔法攻撃を中心にダメージを与えていくんだ!」

「遠距離攻撃のプレイヤーはできるだけ後ろにさがれ、ターゲットが移動するぞ!」


 視線の先では、大勢のプレイヤーが水龍を囲んで攻撃している。


 スキルとか魔法とかバンバン使っちゃってさ、これぞ集団戦って感じ。

 当然だよね。

 あんなの絶対、一人で戦うような相手じゃない。


 たまたまスキルの相性が良かったから持ちこたえられていたものの、普通だったら絶対死んでたって。


 視線の先、羽をばたつかせている水龍が空に飛びたとうとしてる、逃げるつもりか。

 だったらしょうがない。


「ニルバさん?」


 近くにいたシロナが不思議そうな声を離す。

 ま、当然だよね。さっきまで死にそうになってたのに、「何やるの?」ってなるよ。


 でも、さ。

 良い機会だから。


「復讐するは、我にあり……なんてね」


 先程発動させたスキルを再び使用。

 ただし、こういう特殊なスキルは連続使用できないように待機時間クールタイムがもうけられているから、血壊之盾は出現しない。


 その代わり、赤い剣が手の中に出現する。


 僕はそれを、精一杯振りかぶって。


「これで、しかえ……しっ!」


 投げた。


 特殊スキル血壊之盾の効果は、実は一分間だけどんな攻撃も受け切る……のではない。


 受けたダメージを貯め込むものだ。

 だから、後はやられた分だけ仕返しするだけ。


 これまでに受けたダメージを吸収した剣は水龍に直撃して、今まさに飛びたとうとしていた高レベルレアモンスターを地へと落とした。

 あいにく丈夫だったからか、致死にはいたらなかったみたいだけど、反撃のチャンスとするには十分。


 後の成り行きは、まあ、言わなくても分かるよね。


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