第59話 血壊之盾
目の前の水龍は、動きを見せる。
相手の視線がこちらのそれとあう。
向こうは、明らかにこちらの存在を意識していた。
息をためて、ブレス攻撃を行おうとする。
強烈な水龍の攻撃が放たれたら、非戦闘員たちはひとたまりもないだろう。
僕は、スキルを発動しながら、前に出た。
「くそっ、最低だ。死んじゃえば良いんだ」
そんな、意味がない罵詈雑言を呟きながら。
瞬時に展開するのは、僕が保有している特殊スキル。
――
前面に半円状に展開する光の幕。
血をこぼすように淡い光の粒子を周囲に振りまくそれは、どんな攻撃でもきっかり一分は必ず守ってくれるというもの。
背後で、アリッサが声を上げる。
「皆、ニルバっちの後ろに!」
直後。
ブレス攻撃が襲い掛かって来た。
群青の閃光が一瞬で押し寄せてきて、視界を埋め尽くした。
あまりにも強すぎる光だから、視界から入り込んでこちらの脳を直接ゆさぶってきているような感覚にすら陥る。
「っ……」
定められた時間以内なら、防御は成功するはず。
そう思っていても、視線を逸らす事などできるはずがなかった。
おしよせる恐怖心で、眩しすぎる光に瞼を閉じる事もできない。
やがて、数秒。数十秒も立ってから、攻撃がやんだ。
今になって、足が震えている事に気がついてその場にへたり込みそうになるが、危機はまだ終わっていなかった。
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