第55話 やっと見つけた



 うん、とにかく今の状況について真剣に考えてきたんだけど、もうそろそろ目的地に辿り着いてくれないかな。


 ほら、事情が事情とはいえ、こう男の子的な生き物と女の子的な生き物が、長時間密着してるのはどうかと思うしさ。


 柔らかいなとか温かいなとか余計な事考えちゃうじゃん。

 何それ僕へんたい?

 いや、ごく普通の事だよね?


 僕が人との関りを断っている間に人類が急激な進化を遂げてて、男女の恋愛のイロハとか変わっちゃってたら、当てはまらないだろうけど。

 ああもう、とにかく早く降りたい。

 変な事考えて誤魔化してるのが、限界なんだってば。


「あ、ニルバさん! あそこにアリッサさんが」

「よし、助かった」

「?」


 何でもないです。

 口が滑っただけ。


 とにかく目的の人物が見つかったなら話は早い。

 降下していって、ほんの少しぶりのアリッサに声をかける。


 とりあえずまず、君に言いたい。


「アリッサ、きみ動きすぎ!」


 言った、というか文句ぶつけた感じだけど。


 アリッサは声の主である僕達を見つけて、きょとんとした顔になった。


「ニルバっち? あれれ、何でこんな所にいるの? それにシロナっちまで、変な組み合わせー」


 それはこっちの話だよ。

 君達いつから知り合いしてたの?

 全然気が付かなくて色々大変だったじゃんか。


 さらに出てきそうな文句を飲み込んで現状把握につとめる。


 周囲を見回すと、けが人が大勢いるようだった。

 状態異常にかかっている人や、ライフが少なそうな人が回復役をまもっていたりしている。


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