リ:ロード

七篠Jon

空っぽ


もう一人の自分が拳銃を持っている。


引き金を引く


カチ、


今日も頭の中の自分を殺す


単なる自分の妄想の拳銃


特別のなことではない


幸せじゃない自分


目を開けるとゴミ袋が膨らんでいて散らかる部屋で


1分1秒を椅子の上で過ごしながら


不規則な心臓の音を感じ


やすいカップラーメンを食べる


食べるラーメンは塩辛くてクソ不味い


腹も膨らず何も満たされない


惰性で毎日を過ごすし


ネットで都合のいい言葉を見つけ わけのわからない涙を流す


必死に延命処置をしている





いつでも死ぬことを想像して


いつでも死ねると妄想して


映画で見た拳銃を頭に浮かべ


生きるために意味もなく拳銃を頭に突きつける


引き金を引く それがブレーキになっている


心を軽くするために何度も引く


頭から苦い味を感じながら


まずいラーメンを食べてごまかす


腹も満たせず心も満たせずにいた





そんな時実家から電話が来た 


久々に両親と飯を食うことになった


急いで部屋を片付けた


久しぶりに会った親は疲れた顔をしながら少し白髪とシワも増えそれでも笑顔で接してくれた


いろいろ質問されたが全部ウソをついた 


醜い自分を知られたくなかった


その嘘を真に受けふたりとも安心した顔を見せた 


罪悪感に駆られ死にたくなった


夕飯は母が作ってくれた 懐かしい匂いのカレー


食べた無我夢中に食べた 何故か涙が止まらなかった


両親は少し間を置いて「そんなに美味しかったのかい?」と笑いながら聞き返した


私はうんとしか言えなかった


こんなしょっぱいカレーがとても美味しかった



両親が帰った後の夜 


拳銃のことを考える


拳銃の玉がなくなった時私はきっと死ぬだろう


また延命処置しようとした




頭に拳銃を近づけ引き金を引く




しかし弾は入っていなかった




今日は自分を殺せなかった




空っぽの拳銃を握りながら 




せめて笑いながら泣いた



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リ:ロード 七篠Jon @semishigure2

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