晩夏
髪を濡らした君は 腕いっぱいに抱えたギガンチウムを揺らし
哀願する眼差しで 揺れ続けるアスファルトの陽炎を突き抜く
萎れゆく蟲の屍に 乾いた琥珀色の風が絡まり
屈み込んで涙する 空は真っ白な雲に埋め尽くされている
記憶は混ざり合い 渦巻く
銀の針が差し込む 真昼の夏
痛みを抱えて巡る 血液は泡をたてて芽吹いてゆく
針穴から湧き出る 千の泉
投げ交わし遠のく 戻らないものたち
耳に低い地響きを 数珠のように連ねて
あしげく飛び交う 働き蜂の群れも
研がれた銀の音色 八の字を描いて飛び去る
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