試行される詩片のための集成

トーヤ

三角錐

柔らかく深きところにぶら下がる君の歯が


僕の脈打つ赤をそっとはんでゆく


滅びゆく惰行に身をまかせ


独楽コマのように落ちゆく


堕落した心臓の鼓笛隊


僕の心は三角錐フラスコの底に閉じ込められた


それは両肩から回された、君の白い腕


出口は狭く、底の広い瓶中へいちゅう


僕はねむる君に浮かぶ笑みに目を見張る


その頬を滑り落ちる黄金こんじきの塵は


ゆっくりと僕をうずめてゆく


水面みなもに振りまかれた光のような


君のその無邪気な柔らかさが


黒雲くろくもを落としたように僕の心に広がるのを


そこに沈む無数の金色こんじきの塵よ


夜陰にまとめる焦点に


すがりついた縄の一切れも


フィラメントのように弱弱しく


まなこの内に


燃え尽きた


目をつむれ


つむれ、つむれ


女よ、つむれ


念じつつ


僕は横たえた体を石のように固くする


走馬燈はマッチのように燃え尽き


ねじ曲がった黒炭は


からすの羽のように光っている


君の瞼の重くふさがるとき


僕の沈む闇底タルタロス


君の眠りの上をいらかのように滑り降り


そのふくよかな安息を包み込む


目をつむれ


つむれ、つむれ


女よ、つむれ


この三角錐フラスコのなかで


沈殿する泥濘


いつ果てから顔を出すともしれぬ


あの恐ろしい陽射しのいななきにおびえながら


瞼の切り取られたまなこ


夜陰に涙する


僕の三角錐フラスコのなかで


さちなるものが光となって


影を引き起こす


君は幸せのままでいよ


僕がおののくから


君のふくよかな眠りの傍らで


目をつむれ


つむれ、つむれ


女よ、つむれ



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