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 その日、僕達からあの光は2つのものを奪った。

 真っ赤な夕焼けが印象に残る1日だった。

 その赤さは、学校を焼き、家を焼き、町、そしてこの国を、世界を焼いてしまうのではと思うほどの赤さだった。

 文字通り夕焼け。夕の空を焼いている。

 そんな日に、一筋の蒼い光が空から、宇宙から降ってきた。

 流星のように。

 実際僕は流星を見たことがある訳では無いのだが、その青さは、夕焼けの赤を飲み込み、紫色になり、そして東の方へ消えていった。

 これは、そう。話に聞くハレー彗星のハリーの尻尾とかいうやつに似ているのかなと思った。

 ―有名な話だから知っているが、僕もホースを買いに行こうかなと思った(冗談だが)その時、西の方から蒼い光がこちら。すなわち東に向かって、いや、南東、北東にも向かって広がってきた。

 それは空のあの赤を飲み込み、もう18:00であるにも関わらず、昼夜逆転―夏の6:00のような、あの、子供の時のラジオ体操の時に何度も何度も見たあの青い空のようになり、僕達の世界を青色で飲み込んだ。

 ほんの一瞬であったが、僕達の身体をその青はすり抜けて、また、空は赤色へと染まっていった。

 しかし、見た感じ、誰にも特別な変化は見られなかった。みんな一瞬の出来事に驚き、パニックになっているだけで、他に何も変わって見えなかった。

 そう。見ることは出来なかった。

 しかしその時、僕達の身体、世界人類の身体に変化は起きていた。

 僕達の身体からは、前述の通り2つのものすなわち、「生と死」を奪われた。

 そして僕らの辞書、即ち概念から「人類は生命である。」という考えが無くなった。


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