紅葉とオレンジ

@nkponn_

第1話

夜は月の明かりに照らされる紅葉と渡月橋。

昼は太陽に照らされ沢山の外国人が綺麗な背景を後にして写真を撮る姿、河原で遊ぶ親子。

こんな美しい街、京都に生まれてこれて私は本当に幸せだ。


「楓、何してんの?」


女子にしてはやけに低い声が私に突き刺さった。


「お前いつも意味わかんねえよな。渡月橋辺りに来ては写真撮ってて何がいいのか全くわかんねえよ。」


冬夜の声だった。冷たい。こいつは名前のまんま冷たい。口癖は「わかんねえ。」こいつにとっては私の行動一つ一つがわかんねえらしい。確かに変わってるって友達に言われることはあるけどこいつは全面的に私の事を否定してくるから嫌だ。


「そんな意味わかんねえ事してるから彼氏できねえんだよバーカ!!!!!」


「いつも彼氏いない彼氏いないってそればっかり言うよね。冬夜はモテるもんね。ハイハイ。今度恋愛について教えてくださーい。」


そう。腹立つことに冬夜はモテる。見た目は良いしスポーツは出来る。冬夜とは同じ高校で、冬夜の噂は度々聞くぐらい人気だ。こんな性格が悪いのにモテるなんて結局人生顔ゲーなんだなって。


気づいたら冬夜は嵐山通りに向かって歩いていた。いつものパターンだ。


「言いたいこと言ったらすぐに消えるんだから。」


私の寂しげな一言は紅葉と共に風に流された。

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