聖地巡礼くじ引き祈願

初夢なすび

聖地巡礼くじ引き祈願 前編

 ソーシャルゲームのキャラを当てる『ガチャ』というシステムというのは本当に『運』でございます。


 なかなか当たらなくて悔しがる方、また余裕がある時は課金をする方も多いことでしょう。


 この物語の主人公の男子大学生、喜一きいちも一番レアのキャラが当たらなくていつも悔しがっている一人でございます。


「くそ~当たらねぇ」


 それもそのはず。あと一体揃えば実装済みのキャラクターが全てそろうのですがこれがなかなかあたらないのであります。


「あぁ~。何か当たりやすい方法が無ぇかなぁ」


 そんな方法があれば誰もがやっていますが、そんな事はおかまいなしに喜一はスマホゲームを中断してホーム画面に戻り、検索バーナーで欲しいキャラクターを手に入れる方法を検索しました。


「……やっぱり無いよな。そんな方法あったら誰でもやって……ん? こ、これだ!」


 スクロールをしてると何か気になる記事を見つけたようでございます。


「『聖地巡礼をしたらゲットしました!』。これだ、聖地巡礼だ! ちょうど都内だし前から行ってみたかったんだ。よし、明日は講義が午前中で終わるからその足で行こう!」

 

 次の日、喜一は大学の講義が終わると急いで校舎を出て駅に向かいました。


 電車に乗っている間、最寄り駅に着いてからの道順をスマホ調べていました。


 最寄り駅に着くと出口を確認し、歩いて目的地に向かったのであります。


 歩いて15分はかかるのですが喜一は苦ではありませんでした。


 それは今歩いている道はアニメのシーンに出てきた場所でもあるのでそのシーンを思い出しながら歩いていたからなのであります。


「着いた着いた」


 目的地に到着すると喜一はスマホを取り出しました。


 聖地となったこの景色を見ながらガチャを引くのです。


 こんなに贅沢なガチャは無いな、と思いながらアプリを開きました。


「あ……メンテ忘れてた」


 『メンテナンス』。


 それはプレイヤー全員がゲームをプレイできないというつらい時間。


「まぁ家に帰ってやろう。現地で引かないと出ないって訳でもないみたいだし」


 喜一は諦めてアプリを閉じてカメラアプリを起動し、せめてここに来たという記念にとパシャパシャとシャッター音を鳴らして何枚か写真を撮ったのでございます。

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