神様の言うとおり

カゲトモ

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「ふぁ」

 なんていい天気。今日は大雨が降るんじゃなかったのか。もしかして一日間違えて天気予報を覚えているのか、それとも貴重な休みに神様がお情けを下さったのか。俺は雨男だから。

 というかそんなことよりこんなにいい天気なら洗濯ものを外に出しておくべきだった。この時期の晴れ間は貴重なんだから。

貴重な休みの貴重な晴れ間。あれ? もしかしてこんな日に限って朝から出掛けている俺は神様に見放されているのか? ・・・なんかそんな気がしてきた。こんな時は無駄なことはせず、さっと用事を済ませて帰るべきなんだろう。まだ昼だって食べていないけれど。

 なんてことを考えながらドリンク片手にベンチに座っていると、視界の隅で影が横切った。と同時にフローラルの甘い香りが鼻先をくすぐる。いい匂い。

 あぁ隣に女性が座ったんだなと思う気持ちと、ド平日の昼間のガラガラなショッピングモールでどうして俺の隣に座ったんだろう、これが噂の逆ナンか、わーお。なんてことが頭の中を巡ってなんとなく左側を向くのが躊躇われる。いや別にどうってことないんだけどね?話しかけられたって余裕で答えるけどね?

――ふっ。

「うおっ」

 でもまさか飛び跳ねることになるとは思わないじゃん?

「なーに期待してんの」

「バッカお前、何すんだよっ」

 飛び跳ねた勢いのまま立ち上がってそいつを睨み付ける。そこに余裕の笑みで腰かけているのは良く知っている悪ガキだった。

「ミヨッ」

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