色の違いがわからない男なんてどうでもいい。 ― セブンイレブン ななチキ↔ジューシー若鶏ザンギ

水嶋 穂太郎

完結話

「ななチキと食べ比べてどうだ?」


 頭の良い馬鹿な父親が聞いてきた。


「ななチキが黄色で、そっちの唐揚げが黒」

「意味がわからん」

「わからなければべつにいい」


 ……仕方がない。


「ななチキは黄色い香辛料っぽくて、唐揚げは黒っぽい香辛料だ」

「なるほど、ブラックペッパーか」


 頭が悪くて賢いおれは、軽い頭痛を覚えた。

 だがら知識先行型はいやなんだ。


 だれがブラックペッパーだと言った?

 おれは単に「黒っぽい香辛料」というイメージを述べただけだ。

 それを勝手に自分の知識から『ブラックペッパー』という固有物に結びつける。

 まったくをもって馬鹿らしい行為である。


 これが幼稚園や小学校の低学年図工の授業で、相手が教師だったならば、子どもはさぞかしがっかりすることだろう。


 だから大人ってのは残念なやつが多いんだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

色の違いがわからない男なんてどうでもいい。 ― セブンイレブン ななチキ↔ジューシー若鶏ザンギ 水嶋 穂太郎 @MizushimaHotaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ