第34話「拝啓、ドラゴンの種族」

「まあ人間が採るわけも分かるんだけどね。私用に作っているから万能薬草だから、ある一定の症状ならば何にだって効果あるんだよ。例えば、吐き気、腹痛、頭痛、熱や、便秘、美容にも効果的なんだよ」

「そんな万能なんっすか。リオさんの薬草すげぇー」

 数多い効能に声に出して驚いてしまった。今度アミュさんに激辛料理を食べさせられた時にでも使ってみよう。


「それにしても、龍太君こそ何しにここに来たんだい?」

 う、やっぱり聞かれたか、本当のことを言ってもいいのだろうか。うーん。しかし……。

 僕は目を右往左往しながら、あわあわとしていると、リオはジトっとした目で見てくる。

「もしかしてやましい事かい?山と海、自然を守る者として、見過ごせないねー」

 顔が近づいてくる。威圧感が強い。これは言うしかないのか。

「怒らないから、大丈夫だから、言ってごらん」

 このセリフ言ったら怒られる奴じゃん。まてまて、僕は怒られることなんて何もやってないじゃないか。やましい事はないんだ。僕は言うぞ。

「…………、薬……草を取りに来たんです」

「?、ボソボソって言っても聞こえないよ。もっと大きな声で言ってよ」

 リオは頬を膨らませながら、ぷんぷんとしている。くそ、誤魔化せられると思ったのに。

 僕は正直にいう事にした。ここの山にある薬草を取りに来たことを。このまま黙っていてもあの豊潤なボディーに犯されかねないからな。


「薬草を取りに来たんです。はい」

 僕はリオのおっぱいをガン見しながら言った。リオは手で胸を隠しながら、頬を赤らめている。

「ガン見しながら言われてもね。ボクも少し恥ずかしいよ。あ、薬草ね。少量ならば別にいいよ。山を荒らさなければね。ただ人間みたいに有限な資源を喰らいつくすかのように取るようだったら一言言わせてもらうけどね」

「あ、ありがとうございます。感謝します」

「君はボクの胸に言っているのかな?君はいつもそうなの?まあ健全なのはいい事だけど」

 リオの胸元を見続けていた僕を、リオはぷんぷんと頬を膨らませている。腕組をしながら、ため息を吐いた。

 胸元を見ていたのがバレたらしい。そんな胸をしているリオさんが悪いんじゃないか。僕は悪くない。そう思っておこう。


「それにしても、やっぱりドラゴンって珍しいんですか?この世界は?」

 僕はリオの顔を見上げながら言った。リオは「うーん」と人差し指を自分の頬につける。

「そうだね。こんなに人が居るところには普通は居ないかもねー。狂暴な分、人間世界からには別れて生活しているからね。それにしても君は生まれたばかりだというのに理解度の高さ、それに狂暴なドラゴン達に比べても比較的っていうか、安心感すら感じるってのも不思議なものだよ」

 やはり、ドラゴンは珍しいのか、前世の地球でもドラゴン=最強、珍しい、だったもんな。あの某カードゲームですら、最強のカードはドラゴンだったしな。しいて言うならば、僕もこの赤色の肌じゃなくて、白、銀色の肌だったらカッコよかったんだけどな。ホワイトドラゴンみたいに。

 僕は「はー」とため息を吐く。リオは首を傾げる。

「んー、だけど君の種族はどのドラゴンだろうね。ボクはこの目でいろんなドラゴンを見てきたけれど、君は人間みたいな瞳をしているね。黒褐色(こくかっしょく)の瞳だね。普通は青い色、緑色、黄色がほとんどなんだけどね。まあ、ボク自身も希少種なんだけどね」

 リオは細い目を見開いて、右目は青色、左目は薄い黄色の瞳を見せつけるように見開いた。いつもは目を細めてて、オッドアイとは気づかなかったけど、ドラゴンによって個性はあるのだろう。

 僕自身、そこまで自分の事を気にしたことがなかったから、実感がわかない。僕は鱗のような肌を触りながら、首を傾げるしかなかった。

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