イセカイサイクロン・リコード ～異世界少女のアース開拓奮闘記！～

第一部

プロローグ――幼き頃の少女

私は、家族を失った。

家族との穏やかな時間を、「世界を滅ぼし、新しく世界を創り変える為」という、たった一人の独りよがりな理由で。

そいつの名前は、カゲル。

私はそいつに復讐する為――何も出来なかった自分と決別する為、身体を鍛え、武器を手にして、戦いを経験して。

そして、私にしかない力を使いこなせるようにした。

そんな、復讐の為だけに歩んできた人生が、ある日突然、終わりを告げる。

『五大戦士 カゲルを封印』

全世界にくまなく配られたこの号外は、「選ばれた5人の若者により、カゲルは封印。半永久的に、カゲルの脅威に晒されなくなった――」と綴られていた。

もう、私がしたような過去を経験する人が増えなくなる。そう考えるととても安心できた。

けれど、その日からの私はすっかり気が抜けて、何にもしたくなくなってしまった。日々欠かさなかった鍛練もする気になれないまま、無駄に時間を浪費していった……。

そうして今。私は、穏やかな森の小さな一軒家で、家主の留守を守りながら、家事をこなす日々を過ごしている。

でも、こんな穏やかな生活が、ある日を境に一変する。

それは、葉を枯らした幹に、新しい葉が芽生えたかのような。

それは、死んでいたと思ったものが、途端に息を吹き返したかのような。

これからあなたが見るのは。

私が、私をもう一度始めた頃の、記録（リコード）。