同僚の火遊び話
にぼし
彼がまだ新兵だった頃の話
最初の基地に配属されて、とりあえずローカルな女友達を作ることで、今後の女の子との出会いを円滑にしようって思ったんだ。
いきなり本命狙いって訳じゃなくても、やっぱりかわいい子と友達になりたいよなって探してたら、かなり俺好みの子が遊び相手を募集してたんだ。
で、当然 声をかけるじゃん 「陸軍に入って、最近この近くに配属されたんだけど、よかったら食事とかどうですか?」ってね。
速攻でOKが返ってきて、その日の夜にご飯を食べようって話になったんだ。
即OKだったからプランを練る時間もないし とりあえず高いレストランに行って、高いバーで少し飲ませて、家に送り届けて、まずは好印象だけ与えようとしたわけ。
幸い車はCobraに乗ってたから、見栄だけは張れると思ってね。
そんなこんなで、彼女を迎えに行くんだけど、彼女の家の場所がなんか聞き覚えのある地名だったんだ。俺は父親も軍人だったし、その基地の付近で住んだこともあるから、なにか思い出でもあったのかな? って軽く思いつつ迎えに行ったんだけど
近付いて思い出したんだ。 そこ、超が付く高級住宅街なんだ。コミュニティエリアに入るためのゲートがあって、門番がいる感じの。
これは場違いすぎてマズいか? って思ったけど、ゲートの人も「X様宅ですね。伺っております」とか言ってゲート開けちゃうし、引くわけにもいかないから家まで行くんだけど、そこがさらに見渡した中では一番大きな家で、おまけに玄関になんか海軍の旗がぶっ刺さってるの。
ドアまで近づいたら、中からお母さんっぽい人が出迎えてくれて 「〇君ね! 聞いてるわ。今日は娘をよろしくね」って言っちゃうの。
これは深入りは危険な交友レベルだと思って、バーは止めて飯だけで食って送り返そうとプランを脳内で変更したんだ。
そしたらお母さんに「お友達とお出かけなんて久しぶりだからはしゃいじゃって… ごめんなさいね準備に時間かかってて」って中に通されてお父さんと少し話したら、門限は0時で構わないから楽しんできてくれと。
門限とかやべぇって思ったけど、むしろこっちが今日は顔見せだけで逃げる気満々だったから、そこは心配しなくてもいいだろうなと思ったよ。
お父さんが退役済みの海軍の元高級将校で、遅くにできた一人娘を猫かわいがりしてるって感じの親子。娘もその反動で出会い系で遊んでるんだか知らないけど、お嬢様の火遊びで よく今までヤバい事にならなかったなと変な心配したよ。
「もう準備できてるだろうから連れてくるね」ってお母さん。連れてくるってのにちょっと違和感があったけど、玄関で待ってたら出会い系で見た写真そのものの
超俺好みの女の子で、写真よりちょっとおっぱい大きい子が、両足が膝から下が無い状態で、車椅子で登場。
一瞬 思考が止まったよ。
それが悪いとかじゃないんだけど、俺のCobraじゃ車椅子は無理じゃん…
女の子も両親も遊びに行く気・行かせる気満々で俺にエスコートさせるわけよ。
とりあえず余裕っぽい顔して席の後ろに車椅子を畳んで詰めて、何とか落ちない程度に収まったから紐で縛ったりして。
せっかくのオープンカーだからって、高速で10分くらい走ってドライブを楽しんでからって場所のレストランを予約しちゃった自分がバカだったね。
高速を走ってる10分が永遠に感じた。席の後からずっと バタバタバタバタ…!って車椅子の布の部分に風が当たる音がして、吹っ飛んでいきそうなの。
ようやくレストランに着いて、車椅子を組みなおして、そこそこエスコートできてるかな? って自分では思いつつレストランに入ると、そこはさすが高級レストラン、対応すごい慣れてて何不自由なく食事をゆっくり楽しめたんだ。
よし、今ならそれなりに格好良く家に帰せるぞって思って、じゃあ帰ろうかって言ったら、その子のほうから「もう少し遊びたい」と言ってきたんだ。
お母さんも言ってたように多分、普段から外に出れなくて辛かったのかなと思うと、俺も門限までは付き合いたいなって気持ちになった。
ただ、俺は運転してるから一緒に飲めないし少しだけだよと念を押して、近くにある そこそこ見栄えの良いバーに行ったんだ。
そこで彼女はわりと慣れた感じでオーダーしてて、あまり出ないって言っても全く飲めないって事もないのかって感じだったよ。
そこでしばらく世間話とか、その子が普段どれだけ遊びに行けないかとか、お父さんが過保護だとか、飲みながら話してたら急に 「ダーツやってみたい!」とか言いだすの。 それは流石に…って思ったけど 今まさにダーツで遊んでるおっさんが
「お? お嬢ちゃんやってみるか?」みたいに誘ってくるの。
周りも優しい世界だよな、車椅子の女の子をバーに連れて来た俺を無神経とかそういう扱いなしで、一緒になって楽しんでくれてるの。
ダーツは全部外してたけど、それなりに楽しかったみたいで良かったなと。
門限にはまだちょっとあったけど、一通り遊べた感じもしたし、ギリギリになるのも悪いかと思って、今度こそ家に送ろうとしたら「まだ帰りたくない…」って。
そういうセリフは男の子を勘違いさせるから気をつけなって注意したんだけど、向こうも「そういうつもりで言ったもん」って。
そもそも見た目は超好みの子だし話してて楽しいし、ここで止めないといけない理由も無いんじゃないか? って思ったわけよ。で、戻り道にある高級って訳じゃないけど、可もなく不可もなくなモーテルにご休憩に入ったんだ。
かなり過保護な両親に猫かわいがりされてるのは知ってるから、本当に大丈夫なのかと。無理してないか? 勢いだけで来ちゃって後悔しないかと最後に念押しをしたら
「今日は本当に楽しかったの。 それに大人の男女の遊びって、あそこで家まで送られておやすみなさいじゃないよね?」 だって。 可愛いな、おい。
それにしても、勝手が分からない。普通にして良いもんなんだか、何かあらかじめ知っておいた方が良いことがあるのか。
とりあえず、普通に普通にと、ゆっくりキスをしながら服を脱がして、さてそろそろ…って時になって彼女の足を開こうとしたら、凄い力で押し戻されるの。
怖いならやめとくよって言おうとした俺を察してか 「ごめんね、どうしてもそうなっちゃうの。だから普段は足を縛ってからするの」と、彼女。
「普段は…?」 って思ったけど飲み込んだ。 初めてじゃないにしてもわりと頻繁な感じの物言いだなと、それに 「あと、絶対に濡れないから、ローションが無かったら唾で無理にねじ込んでいいからね。私は痛くもないから」
流石にそれは萎える。
他の男がそれで続行したのかと思うと、ドン引きなんだけど、それじゃ君が楽しめないだろうともう一度説得してみる。
でも彼女は俺と遊べた今日がいかに楽しい夜だったかを繰り返し言ってくれて、口でしてもいいけど、それだときちんと終われた感じがしないから、嫌じゃないなら、
いびつかもしれないけど最後までして欲しいと、もう一度言ってきたんだ。
そこまで言われて止めたらむしろ申し訳ない。よし、任せろって思ったらもう0時どころか午前2時。どこで時間が経ったのかも分からない。
やばい。急に俺の階級とか、彼女のお父さんの階級とかそういう事が頭をめぐる。
まだ新兵だったあの頃でも「あのレベルの人に怒られたらシャレにならない」というのは分かっていた。
急いで服を着せて、モーテルを後にして、車椅子をバタバタとなびかせて家の近くのゲートに向かう。
「おや、お嬢様。ずいぶんと遅いお帰りですね。流石にこれはお父さんに怒られちゃうかもしれませんよ」って門番さん。軽いノリだけど、それは俺に効く。
シャレにならないから、そういうのは止めて欲しい。
家に着くと電気がついてる。 これは心配して待ってたんだろう。どう謝ろうかと思いながら彼女を押してドアに向かう。
最初に来た時のようにお母さんがドアを開けて二人を出迎えてくれる。
「門限を破って火遊びだなんて、大胆な娘ね」お母さんは満面の笑み。これは考えすぎたか? と期待する。
それではこれで… と、逃げようとするも、お父様がぜひにということで家に上げられた。門限の件はまぁ 目安で良かったんだよと。無事に戻ってきたし、何より娘がとても楽しめたのは一目で分かると。
OK OK これは大丈夫な感じだと思っていたら、お父さんが「今日は一日娘をエスコートしてくれてありがとう」って言いながら財布の中の高額紙幣を数えてるんよ。
いやいや、それはおかしいだろうと思っていぶかしげに見ていたら、
「娘とはしたのか?」
ド直球すぎだろ、お父さん。最後までは行ってないとはいえ、何もなかった訳でもない。ここは思い切って「抱きました」と答えた。 お金数えてる手が止まる。
一瞬の間があって俺が「大人の男女として…」って切り出したら向こうの方から
「君たちは大人の男女だ。どう楽しもうと君らの勝手だったな。失礼した」って、札束を押し付けてくるんだ。
「受け取れません」
「良いから受け取れ。あんなに楽しそうな娘は見たことがない、君の苦労はこの程度ではないだろう」
「お金じゃないんです。僕だって1人の男として今夜は彼女と一緒に居られて楽しかったんです。やめてください」
「そうはいかん、あいつは両足を紐で結んでいないと挿入もできないのに…」
「えっ?」
=== 糸冬 ===
いかがでしたでしょうか? オチを知ってる状態で書いているので、どこかでバレないか冷や冷やしながら書いていました。
私が聞いた時は、最後の最後まで本気で感情移入していしまい、オチで思考が停止してしまいました。
同僚曰く「これは俺の飲み屋でする猥談の中でも自信作なんだ」だそうで。
同僚の火遊び話 にぼし @heinz57
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