ヒトリゴト
「それじゃあ、まず初めは味噌汁から作っていこうか? さすがに味噌汁がダークマターになることは無いと思うけど……」
具材はわかめ、水で戻すだけだから心配は無いだろう……。
「それじゃあ、俺は親子丼を作り始めるから、お湯に味噌を溶いておいてくれる? 」
そういって親子丼を作り始める。
材料
鶏モモ肉・鶏むね肉 各40g
卵(全卵) 3つ
タレ
濃口醬油 大さじ2
本みりん 大さじ1
上白糖 小さじ1
黄ザラメ 小さじ1
昆布出汁 1カップ
作り方
1、鶏モモ肉と鶏むね肉は一口大にカットする。卵を割って、卵黄を1つだけ別にして軽く混ぜ合わせ溶き卵をつくる。
2、鍋にタレを入れて火にかけ、沸騰したら中火にして鶏肉を入れて、裏返しながら火をしっかりと通す。
3、肉に火が通ったら弱火にし、溶き卵を中心から円を描くように回し入れます。
4、卵のふちが固まってきたら蓋をして30秒で火を止め少し蒸らします。
5、ご飯の上に盛り、残しておいた卵黄を真ん中に落としたら完成!
これで1つ目の親子丼は完成! 次は茶碗蒸しを作ろうか……。
材料
出汁
昆布出汁 2と3/4カップ
鰹節 適量
調味料&卵液
卵 3個
酒 大さじ1
塩 小さじ1
醤油 小さじ2
具材
鶏ささみ 1本
むきエビ 4尾
干し椎茸 4個
かまぼこ 4切れ
銀杏 4個
三つ葉 適量
作り方
1、鍋に1ℓの水を入れ昆布を加えたら、弱火で10分程度煮詰めます。
かつお節 を加えて5分程度、火にかけたらザルでこします。
2、鶏ささみに酒・塩をかけて臭みを取り、出てきた水分を拭き取ったら、一口大にカットしておきます。
3、エビは酒・塩をかけて臭みを取り、軽く湯通ししておきます。
4、かまぼこ、三つ葉は適度な大きさにカットしておきます。
5、出汁が温かいうちに調味料を加えて混ぜます。そこへ、溶いた卵を入れて
混ぜたらザルでこしておきます。
6、器に具材を入れたら5の卵液を流し入れます。
7、蒸し器に器を入れたらフタをほんの少し空けて乗せ、強火で3分程蒸します。
「おにぃ、おにぃヘルプ! 」
隣に居る美遥を見ると、鍋から味噌汁が吹きこぼれている。
「あぁっ、ちょっと鍋を火から離して、味噌はちゃんと……。溶いてないのね……」
鍋の中には味噌が塊のまま、お湯に浮かんでいた……。
「味噌汁? 」
俺がお湯に浮かんだ味噌の塊を見つめると隣では苦笑いをする美遥が居る。
「だって冷蔵庫に液体の味噌が無かったんだもん」
いや、確かに液体タイプの味噌もあるみたいだけど……。
「味噌の溶き方って知ってる? 」
さすがに知ってるよな? 今のコレも何かの冗談だよな?
「えっ、何言ってるのおにぃ……。もちろん知ってるよ! ほらっ、確かお玉でクルクルーって……」
ダメだ、この食材キラー……。
「ごめん、俺が間違ってた……。一から付きっきりで教えるよ」
そういって味噌汁を美遥に教えながら作りあげた。
「それじゃあ、いただきます」
「いただきます」
そういって俺は美遥と一緒に作った味噌汁を一口飲む。
「うん、美味しく出来てる……。次からは美遥に味噌汁は頼もうかな」
そういって美遥を見つめると美遥は嬉しそうに頷いてくれた。
「ごちそうさま、私、先にお風呂に入るね? おにぃはお風呂入ったらすぐ寝る? 」
首を傾げながら美遥が尋ねてくる。
「いや、風呂入ったら明日、小春ちゃんに教える料理の手順とかの確認を少ししておく、間違った作り方を教えられないからね」
そういって美遥に笑いかけると何かを言って、お風呂に行ってしまった。どうしたのだろう?
【美遥サイド】
「なんか嫌だな……」
思わず言葉に出てしまった……。おにぃには聞こえてなかったみたいだけど……。
「私ってこんなに独占欲ってあったのかな? 好きな人だから私だけを見てもらいたいって思っちゃうんだよなぁー」
私はそういって湯船に顔を入れて、行儀が悪いのは知っているけど、口からブクブクと泡を出す。
1つ上の従兄で昔からの知り合い、それで大好きな人……。
「泣き虫で寂しがり屋で人見知り、そんな私にいつも寄り添って手を引いてくれた大好きな人……。今更思うと寂しがり屋で人見知りって私、かなり厄介な性格してたんだなぁー」
なのにおにぃは、私に合うといつも笑って手を差し出してくれた。そのうち私は、いつもおにぃと手を繋いで歩いていたせいで、商店街や近所の人たちからは『小さなおしどり夫婦』と呼ばれていた。
「私とおにぃは本当のおしどり夫婦になれるのかな? なれたらいいな……」
そんなことを呟いているとキッチンの方で大きな音がする……。
「ちょっ、マジかよ! 死ね! こっち来るなって! 」
どうしたんだろう? 私は気になったのでお風呂から上がることにした。
「飛ぶなよ! あぁーっ、気持ち悪い! 死ねっ! 何でカサカサ動くんだよ」
リビングで唐揚げの作り方を書き出していたら、黒くてテカテカしているアイツが飛んできた……。俺は近くにあった新聞紙を棒状に丸め、飛んできたGを打ち返したが、まだ死んでいなかったようだ……。
「クソッ、どこにゴキジェットはあるんだ……。この家に引っ越してきてから1度も出てこなかったから油断していた……」
そういって飛んできたGを再度打ち返す。
「おにぃ、どうし……。ギャァァァァァァァァァァァァァァァッ! 」
美遥にクリティカルヒットしたと同時にGは美遥のシャツを汚して息絶えた……。
「うぅっ、お気に入りのパジャマだったのに……」
「ごめんなさい……」
「どれだけ力任せに打ったの? 」
「ごめんなさい」
「染みみたいになっちゃってるじゃん」
「本当にごめんなさい」
死んだGの処理をして、泣きながら服を着替えに行った美遥が戻ってきたので誠心誠意謝っている。
「本当に悪いと思ってる? 悪いと思っているなら、おにぃの誠意が見たいです」
そういって美遥は見つめてくる。
「クリーニングに出してきます? 」
「おにぃはゴキブリが死んで体液やら何やらが付着した服を洗ったからって着たいと思いますか? 毎晩悪夢にうなされそうで私は、『絶対に嫌! 』だけどな」
口は笑っているけど目は
「じゃあ、弁償します……。いくらだったのかな? 」
あれ? ヤバい、何か地雷に触れた? 顔が怒っているんだけど?
「そういう問題じゃないの! お気に入りって言ったでしょ! おにぃは憶えてないかもしれないけど、このパジャマはおにぃが中学3年の修学旅行で沖縄に行った時にお土産に買ってきてくれたTシャツなんだよ! 私のことが心配だからって京都に行ってからも遠足に行ったりすると、いつも何かと一緒に手紙も送ってくれて……。だからお金の問題じゃないの気持ちの問題なの! 」
尚更、どうすればいいのか分からないんだけど……。
「だから、おにぃは月曜日の放課後、私と一緒にパジャマを買いに行くこと! 良い? 分かった? 」
そういって美遥は部屋に戻ってしまう。
「マジか……。でも大事に使ってくれていたんだ……。少し嬉しいかも」
そういって俺は部屋から着替えを持ってきて、風呂に入ってから部屋に戻り、眠りに就いた。
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