フラワーホールに青い花
カゲトモ
1ページ
「いらっしゃいませ」
いつもの様に軽快に来店した人物を見て、いつもの様ににっこりと微笑む。大丈夫、俺は大人じゃないか。
「久しぶりだね、花菱君」
常盤さんも変わらずプレイボーイな笑顔で返してくる。
「なかなか仕事が忙しくてね、飲みに来ることも出来なくて」
「それはそれはお疲れ様でございました」
「私はこう見えてもお喋りしながら飲むのが好きだからね、今日は癒されに来たよ」
どう見てもそういう飲み方が好きそうだけどね。俺なんかが癒しになるのならいくらでもどうぞ。
「正直最近は得意先との会食やなんかでいろんな所でお酒を飲んで来たんだけれど、やっぱり花菱君の作るお酒が一番美味しいね」
「ふふ、ありがとうございます」
「信じてないね? 私が言うのだから間違っていないのに」
どんだけ自信過剰なの。俺より上手い人なんてこの世界にごまんといるってのに。
「んーん、違うよ花菱君。誰が何と言おうが私自身が一番美味しいと感じたことは間違いないんだから。誰が否定しようが、私が一番だと思った事実は覆されない。君は私の中で一番のバーテンダーなんだよ」
・・・なんだよ、そんなキザなことサラッと言いやがって。でも誰かの一番になれることは嫌じゃないし。
「好きですよ、常盤さんのそういうところ」
素直に尊敬できる。俺はひねくれ屋だから。
「なんだい改まって告白なんて嬉しいね。私も花菱君となら」
「あ、それは大丈夫なんで」
俺は生粋のノーマルなんで。
「残念」
「残念がらないでください」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます