修学旅行の記憶-1

 みなさんの修学旅行の思い出って、どんなものですか?

 やっぱり、楽しかったことばかり覚えているものなのでしょうか?


 小学校の修学旅行は東京でした。

 1泊2日のハードスケジュール。まぁ、修学旅行にはつきもののアレですね。

 上野動物園に行ったり、浅草寺近くの仲見世通りをひやかしたり。スカイツリーが既に完成していたというところに自分の青さと未熟さを感じますが。

 正直なところ、そういう思い出は薄らいでしまっています。

 強烈に記憶に残っているのは、東京のホテルに泊まった夜に見た、悪夢です。


 焼ける街。人の肉や、家屋の焦げる匂い。

 耳をつんざく悲鳴や怒号。そして、降り落ちる炎。

 熱い。痛い。苦しい。悲しい。

 そんな、自分のものではないはずの感覚と感情が押し寄せて、夜中にひとり、泣きながら布団を跳ねのけました。同室の子が起きていなくて、本当によかったと思います。

 人々の服装などから、恐らく東京大空襲と呼ばれるできごとでしょう。

 あの夢を見たのは、東京都内に宿を取った、あの夜きりです。


 東京という場所が、昔からあまり得意ではありませんでした。今はなるべく行きたくないとさえ思っています。

 その理由が、あの悪夢と、無関係ではないように思うのです。



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