母のお守り

 さすがに覚えていないのですが、わたしが小さかったころ、家族で沖縄旅行に行ったことがあります。

 沖縄県といえば、さまざまな遺跡でも有名。

 そのうちのひとつを、訪れたことがあるそうです。


 母は、いつごろからかは判りませんが、わたしが生まれたころには既に視える人でした。

 とある城跡に足を向けた際、直感的に、まずい、と感じたそうです。

 ここに足を踏み入れてはいけないと思うほどの悪寒に襲われながら、それでもせっかく来たのだからと、先に進んだといいます。

 結果からお伝えすると、家族全員無事に出てこられました。


 母が鞄につけていたお守りが、なくなっていたことを除いて。


 あれがなかったら恐らく連れていかれていたと母は語ります。

 この話を聞いて以来、わたしは常に3つか4つのお守りをつけて歩くようにしています。



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