昔からいます
いつかもお話しした気がしますが、初めて人でないものを目にしたときの話をします。
当時自分がいくつだったのかは覚えていません。幼稚園に上がる前のことだったように思っていますが、なぜかそのときの記憶だけはっきりしています。
昔から体が弱いわたしは幼少の時分も外遊びというものを好まなかったので、家の中にいる時間が長くありました。
あるとき、ふと廊下で立ち止まって玄関のほうを見遣ると、女性のものらしい白い手が壁の向こうからちょいちょいと手招きをしていました。
玄関のほうを向いて廊下に立つと、少し先に階段があるのですが、我が家の階段は壁に挟まれていて、廊下からは直接見えません。
ですから、幼かったわたしは階段に母がいるのだろうと思って寄っていきました。
誰もいなかったんです。
人間どころかその影すらありませんでした。
よくよく考えたら父は仕事に出ていたし、母はリビングで内職をしていたので、人がいるはずないんですよね。妹弟が生まれる前のことですから。
それ以来、2階の物置部屋から頻繁に物音がするようになりました。
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