第10話ドラゴン襲撃。その裏側に

ストックの街にドラゴンが襲撃してから一週間が経った。


奇跡の光のおかげもあり、大した被害も出さずに済んだ。

ほかの街や王都もそれを聞いて一安心していた。


そしてシトレアが放った奇跡の光の噂は、瞬くまのあいだに次の街へと次の街へと広がっていった。


まあ、ほかの街や王都からするとストックの街は王都から近いことから繁盛しているし、結構居心地も良い。

隣はすぐ山だが…


それは置いといて、その前のことからストックの街に寄っていく人たちは少なくはない。



そんなストックの街だが、このことを良くないと思っている人たち、いや、国があった。


その国の名は…ストレリチア。




ーーーーーーーー

ーストレリチア王城にてー

《????視点》



時はストックにドラゴンの襲撃があった一週間前に遡る。


「ストックの街へドラゴンの襲撃準備はどうなった!」


「三体のドラゴンを手なづけており、もうほぼ準備万端です。」


「ふむ、そうか。では一週間後にストックへドラゴンを放て!そして我らの敵、英雄ヨシルフォリウムとやらを潰せ!」


「了解致しました」


「もう下がって良い」


「はっ」


するとその足を折り、頭を下げていた兵士はその場から下がっていった。


そして残ったある一人が不気味な笑い声を出す。

そして言った。


「さあどう出る、英雄どもよ!」


玉座に座るその人は黒い笑顔を浮かべた。


その名は…"ガレット"




ーーーーーー

《ガレット視点》




そしてドラゴン襲撃後。


何人かの兵士がこの場に入ってくる。


「お知らせします!ストックへのドラゴンの襲撃は失敗致しました!」


「なぜだ!」


ガレットはイラつきを見せる。


「ドラゴン二体は討伐を確認、 もう一体は逃げ出しました!」


「なぜだ!街に被害は出なかったのか!」


「それが…ストックはほぼ今まで通り何事もなかったかのように賑わっています」


「なぜだ!?ドラゴン三体も使ったんだぞ!?」


「あの…」


「なんだ!」


「奇跡の光というやつ―で街や怪我人が治っていったとかないとか、噂がありました。」


「奇跡の光?そんなもんあるか!俺を舐めているのか?もういい、下がれ!」


そう言うと、兵士たちは一目散に逃げていった。


ガレットはイラつきながらも誰もいない部屋で誰かに問いかけるように喋りはじめた。


「キッド、例の計画は進んでいるか?」


すると不気味そうに玉座後ろからキッドと呼ばれたものが出てくる。

キッドと呼ばれたものの姿は目にくまをつくり、どこか清潔感がなさそうな格好をしている。


「もちろんでございます、ガレット様、あと数年いただければ、完璧に仕上がるかと」


すると、ガレットは、大きな声で笑い、玉座から立ち上がった。


「待っていろ、英雄どもよ、数年後にお前らの大切なものを無残に潰してやる」


玉座近くでは、その日一番の不気味な笑い声が響いていた。


その笑い声に怯えて、王城から逃げていった人がたくさんいるとかいないとか。

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