第6話 神聖儀式
自分のお墓参りに行ってから、早半年が経った。
あの日からは、まだ外に出ていない。
今は花残月の七日だ。
シトレア、俺の誕生日は、花残月の八日なので明日になる。
だから明日が来るとシトレアは、三歳の誕生日を迎える。
つまり、神聖儀式を行うことができる年齢になる。
この神聖儀式は、月に一回誕生日を迎えて三歳になった子供たちが参加する大切な儀式だ。
それがちょうどよく俺の誕生日と同じ日にやるらしい。
俺も最近では、体内に魔力を感じることができるようになったため、色々と魔力を使って試している。
例えば魔力操作。
そしてどの属性に適性があるかの確認がてら魔法を使ったり。
一応ヨメナやオシエにはもちろん、みんなにバレないように自分の部屋にて魔法の練習している。
この世界には主に火、水、風、土、闇、光六つの魔法属性がある。
俺は前世では、火、風、水、土魔法に適性があった。
俺のように、この世界で属性を四つ持ちなのは結構珍しい。
というか、両手で数えられるくらいしかいないだろう。
魔法の練習は、前世で使ってきた属性しか練習していない。
一瞬使えなかったらどうしようかと思ったが、そこは神様がしっかりしていた。
ありがたい。
というか、前世よりも威力が強くなってたきがしたが…
そこはこの際些細なことだろう。
俺はヨメナたちとお風呂に入り、部屋でのんびり時間を過ごす。
だがこの時間でどうせ、明日出かけるための衣装を決めるために、着せ替え人形のごとくされるに違いない。
その前に何か手を打たなければ!
そして俺は、ベッドにダイブするような感じで寝転がる。
俺は考えてみるが、そう簡単に方法は見つからない。
そして俺がベッドに寝転がって、考え始めてしばらくした時だった。
「シア〜衣装合わせてしましょー」
そしてノックもせずヨメナは俺の部屋に入ってくる。
俺はとっさの判断で寝たふりをすることにした。
ヨメナの視線は痛いが、寝たふりを続けなければ!
そう決意して寝たふりを続けた。
ーーーーーーーー
《ヨメナ視点》
私ヨメナは、シアが寝たふりを続けていたことを知っていた。
だから私は、あえてしばらくシアに何もせずにいた。
寝たふりをしているうちに、何かボロが出ると思ったからだ。
だが一向に何にもボロを出すことがない。
いつもはそんなことないのに?
私は疑問に思う。
考えたのち私は奥の手を使って、寝たふりをしているシアを起こすと決めた。
シア、覚悟してね。
「私のこちょこちょアタック!……あれ?」
私は最終手段としてこちょこちょをしたが、しては一向に目を覚ます気配はない。
その代わりに、小さな可愛らしい寝息が聞こえた。
「…zzz」
「あら?寝たふりをしているうちに本当に寝てしまったのね。可愛い子ね」
そして私はシアに毛布をかけてあげる。
そして私は愛おしい娘シアの寝顔を覗く。
「シア、おやすみなさい」
私はシアのおでこにキスをしてシアの部屋を後にした。
ーーーーーーーー
朝になった。
俺はいつもより一時間ほど早く目を覚ました。
昨日の夜はいつのまにか、早めに寝てしまったために早く目が覚めてしまった。
えっと。
この早く起きた時間、何をすればいいんだ?
俺は考えたのち、魔力操作を上手くできるように練習することにした。
「うーん、上手くいかないなぁ?」
しばらくして俺は、魔力を操作することに難しさを感じていた。
「何でだろ?」
俺は上手くいかない原因を探す。
そして何となくだが分かったような気がした。
多分俺がこの身体にまだ馴染んでいないのと、この身体に魔力がまだ馴染めていないことが原因だと思う。
ならば時間をかけてやっていくしかあるまい。
俺は身体全身に魔力を流し続ける。
だが、やはりそう簡単には上手くいかない。
だが俺はシトレアは知らない。
今のシトレアでも、一般的にみると圧倒的に上手く魔力操作が出来ているということを。
シトレア本人は全く意識していない。
話は変わるが、この世界には圧倒的な魔力を保持している人たちが複数いる。
その人たちは、当たり前だが幼い頃から保有している魔力が多い。
その人たちは、多い魔力量を持っているがゆえに暴走してしまう。
だからその人たちは、小さい頃から常に魔力操作の練習に浸しんでいる。
この魔力が暴走してしまうのはその練習をしていなかった人たちだ。
俺も多分魔力量は多いと思うから、それを防ぐためにも魔力操作は必須だ。
魔力をうまく操作することによって、魔力を放出したりすることが出来るからだ。
今は何とか魔力操作の練習をして循環させたり放出したりしているが、まだその魔力量に対応してそれほど魔力操作は上手くいっていない。
それほど俺の中には魔力があるということだろう。
出来るようにするためには、たくさんの練習が必要不可欠だ。
これは、何としてでもマスターする必要がある。
こうして練習しているうちに時間はあっという間に過ぎていく。
よし、魔力操作は少し上手くなった気がする。
最後に魔力を放出してみるか。
俺はベッドにあぐらのように座り、魔力放出を開始する。
最初はこれも順調に進んでいた。
そして最後まで順調に行くと思った時。
俺は魔力の操作をミスってしまい、暴走しそうになった。
俺は慌てて魔力を抑えようとして立ち上がろうとした。
が、足を踏み外した。
ドスンッ!
足元を見ていなかった俺は、見事に尻餅をついてしまった。
「イタタッ…」
「シア!どうしたの!?」
「シア様大丈夫ですか!?」
大きな音が俺の部屋から聞こえ心配したのか、勢いよくヨメナとオシエがドアを開け入ってくる。
「だいじょーぶ。グスッ、ベッドからおぢだだけだがらっ」
そう言いはる俺だが涙を流す。
この体は少し涙もろい。
ヨメナは、「痛かったね、魔法で癒してあげるね」と言って、回復ヒールをかけてくれる。
そしてオシエとヨメナは俺のことを慰めるかのように抱きしめてくれた。
泣き止んだ俺は、そのままヨメナとオシエに連れられ、この日のために買っていた服を着させられる。
その服とはスカートだ。
やっぱり女になって早三年経つが、スカートを履くのはまだ恥ずかしいし、慣れない。
しかも、すごいフリル盛りだくさんのスカートだからなおさらだ。
そして服を着せてもらった俺は、近くにあった鏡で自分の姿を覗いてみた。
そこには、自分でもすごい可愛いと思ってしまうほどの、美幼女がいた。
こんな可愛い子を見た事ない。
「かっ可愛い」
自分でも声が出てしまう。
俺は、その場で一回転したりしていろんなポーズをとってみる。
やっぱり可愛い。
「いや〜本当に可愛いわ、食べちゃいたいくらいだわ」
「本当にそうですね。羨ましいです。」
後ろを振り返ると、ヨメナとオシエが俺のことを見ていた。
いっ今の全部見られていたのか!?
恥ずかしいすぎる!
俺は恥ずかしさで顔を赤くする。
その後余談だが、機嫌を損ねたシトレアの機嫌をなおすのに、ヨメナとオシエは大変苦労したと言う。
早めの昼食を食べた俺たちは、俺の神聖儀式のために神殿に行く準備をする。
俺は着替えるくらいしか準備をするものがたいから、ヨメナに許可を貰って、庭園でお花を眺めている。
庭園には、赤、青、黄などといったさまざまな色と形をした花が咲いている。
自分でも知っている花がいくつかある。
その一つがこの家のまわりにある桜紅葉というものだ。
この桜紅葉は数自体少なく、大変珍しい。
桜紅葉は、春になると桜が咲き、秋になると紅葉がつくらしい。
咲いている時期が普通の木より長く、ほぼ一年中咲いている。
そのことから、多くの人たちから親しまれている。
そのほかにもいろいろあるが、長くなってしまいそうので、省かせて頂こう。
まぁ、知らないものの方が多いが…
俺の周りにはたくさんの花がある。
時折吹く風が、この周りの花のいい匂いを運んでくる。
「あら?シアは、お花に興味があったのね」
「やっぱりヨメナ様の娘だからですかね?」
「シアは、スカートを履きたがららなかったり、可愛いものに興味が無いから、少し男の子っぽい性格かと思ってたけど…さっきのことといい、女の子らしい趣味があってよかったわ」
そう言いながら、俺にこっちにおいでと手を使って呼びかけてくる。
俺は、その呼びかけに素直に従い、ヨメナのところまで歩いていった。
近くに来た俺は、ヨメナと手を繋ぐ。
そしてオシエとも。
「じゃあ、行きましょう」
そのヨメナの合図とともに、俺たちは歩き出した。
俺たちは、桜並木を抜けて街に出た。
広場は前ほどではないが、たくさんの人で賑わっている。
やっぱり気になるのか、俺たちと通りすがる人たちは、みんな俺たちを見る。
本当はいやだが、この目立つ容姿だからしょうがない。
広場を抜けるとすぐに神聖儀式の場所となる場所にたどり着くことができた。
早速三人で中に入ると、一人の女性が立って俺たちを待っていた。
多分、今回の神聖儀式を取り締まってくれる人だろう。
「ダリア久しぶり!」
ヨメナがその人に声をかける。
ダリアと呼ばれた人はその声に気づき、俺たちのの頃までやってくる。
「ヨメナ様!お久ぶりです!」
ヨメナとダリアは、そのまま少しの間談笑していた。
そして談笑が終わったのか、ダリアは本題に入った。
「今日は、何をしに来たのですか?」
「ああ、そうだったわ。私の娘のシアが三歳になったから、神聖儀式をして欲しいの」
「そうだったのですね。その子ですか?シトレア様は?ヨメナ様と似ていてとても可愛らしいです。」
「ふふ、ありがとう」
「ではシトレア様。この水晶を見てください」
俺は言われるがまま指を刺された方を見てみる。
するとそこには、懐かしみがある水晶が置かれていた。
懐かしいなぁ。
俺が思い出にふけていると、ダリアその続きをは話し出す。
「この水晶は、三歳児の方たちが神聖儀式を行うために用意されたものです。これでシトレア様の魔法の適性と、固有スキルを知ることが出来ますよ。ちなみに固有スキルとは、自分独自の能力です。この世界に同じ能力を持っている人は少ないです。ではシトレア様。この水晶に手をかざしてください。」
前世でも神聖儀式はやったから、今回の神聖儀式で二回目だ。
こういう経験が出来るのも悪くないな。
そして俺は、水晶に手をかざした。
その途端、あたりは白い光で包まれていった。
俺は、その光の眩しさのあまり目を閉じた。
ーーーーーーーー
眩しい光が収まったところで目を開けると、見たことある人物が立っていた。
「女神フローラ?」
「お久しぶりですね。会えて嬉しいです」
「なんでお前がいるんだ?」
「神聖儀式であなたの魔法適性と、固有スキルを教えてあげるためですよ」
「ああ、そういうことか」
「ではまず魔法適性から。あなたの適性は、火、風、水、土の四つです」
おお、よかった。
前世のものは普通に使えたか。
まずは一安心だな。
「続いてあなたの固有スキルのことについてです。固有スキルの中には、あなたが転生した時に私が特典としてプレゼントしたスキル、創り出す魔法クリエイティブがあります。
これは、自分が創造したものを具体化できる能力です。
これはとても強いですよ。
ここじゃない世界の人の言葉で言うとまさにチートですね!」
「チート?」
「いえ、気にせず結構です。次にえっと…これはすごいですね。
左目に魔力を通すことで、闇魔法を使うことが出来ます。またこの左目には、真偽を見破らことが出来る能力があります。
そして、右眼も魔眼になっていて、また、魔力を通すことによって光魔法を使えるようになります。また、相手の魔法を打ち消すことが出来きます。そして普通に両目に千里眼が付いてますよ。私は何にもやってないのに…運がすごい。とてもすごいです!さすが私が生み出した神!」
確かにこの能力はすごい。
これだったら前よりも強くなることができるだろう。
てか、俺最強過ぎないか?
「では、今後も頑張ってくださいシトレアさん。ご活躍を期待しています。
最後に一つ。創り出す魔法クリエイティブですが、この魔法で作り出したものはもう一度創り直すことはできますが、それ以外の元からあるものは、創り直せないので気をつけてください。あと、右眼は魔力を流すことでみえるようになりますよ」
「ちょっ、それはどういう意味っ」
俺が言い終わる前に俺は、光に包まれていった。
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