青春精神攻撃 一部稲川淳二風に)
本番はここからですよ!
事件は僕が空港から中央駅に向かう途中の電車の中で起きたんですよ。
僕の乗った車両にですね、前の車両から外国人のカップルが来たんですわ。
彼女の方はそのときに見えなかったんですけど(発音からしてヨーロッパ系?)彼氏の方はアジア系の子で、
最初は英語で話してたんですけどね。
あっ、ここから口調が若干稲川淳二風になります。
それでね、会話の中にふと何か日本語が混じってくるんだ。
最初はね、気のせいだと思ったんですよ。 でも…聞こえる。 確実に
そんなはずはないんだ(迫真)
だってね? オランダの電車の中ですよ?。
しかも相手は二人とも日本人じゃないんですから。
これが彼女の方が日本人だったらわかりますよ?(一度もしかしたらを込めて)
でも違うんだ(やっぱり否定)
確実に日本人じゃないんだ(そして更に天丼)
まあそんなわけですからどうして集中しちゃうわけですよ。
久しぶりに聞くんだから(弾む様に)
日本語をね。
それでね? その聞こえてくる日本語っていうのがね……(一度口を閉じる)
きっとね~。お互いに国は違うわけじゃないですか?
だからおそらくは日本に留学して出会ったのかな?
違う国で産まれた二人がですよ。
異国の地で出会い、月日を重ねていく。
そして卒業旅行(なのかな?)としてヨーロッパへ二人で行く。
そしてお互いをくっつけてくれた異国の言葉でしている何気ない会話をたまたま偶然そこに居合わせた日本人が目撃する。
素晴らしい話じゃないですか(爽やかに微笑んで)
またね。会話が本当に普通のカップルぽいんだ。(爽やかに微笑んで)
次はどこ行くの?とか言って相談しあったり(爽やかに微笑んで)
大学?語学学校?の話とか(爽やかに微笑んで)
ちょっぴりエロい話とか(爽やかに微笑んで)
…。
……。
…………。
勘弁してくれよ君達!!!!!
俺の中の『淳二』力もとっくにゼロだよ!
わかる? つまりさ…………限界を越えています(ロボット風)
日本に居るときでさえ目撃したら心臓直撃(良くも悪くも)な話だけどさ~。
おじさんはね? (優しい声で)
飛行機で11時間座りっぱなしな上に隣の席の腕置きを占有し続けるという『原罪』を重ね、なおも荒くれ者の審査官達との激論を交わし(表現は個人差によります)、やっとここまで来たんだよ?
しかもだ。(半笑い)
お金はあるけど使えない』とか理不尽な目に合い、荷物の盗難に怯えながらガイドブックを読み、十五分ほど人にただ話しかけるだけの練習をしてから挑んでかろうじてゲットした切符。
そんなボロボロな状態で乗っているこの俺に……。
神よ、貴方はそこまでやるというのですか?(涙すら枯れ果てて)
ル、ルール違反だろうが、そんなもん!
恋愛系で責めてきたら…そりゃ戦争だろうが!
い、いやいや確かに君達は悪くない。
おじさんだってわかってるさ!
そりゃ君達からすれば気持ち悪いメタボのおっさんにキレられてんだから理不尽以外の何者でもないということはわかってるよ?
しかしがだ 。
し・か・し・が・だ(強調)
おじさんだって辛かったんだよ~!!(号泣しながら)
だからおじさんは悪くない(きっぱり)
うん、やっぱり悪くない(断言)
やっぱり悪くないじゃないかな?(あえて一度ひいてとみせかけて)
それでもおじさんは悪くない(断言、綺麗な瞳で)
大体、君達も~、あれだぞ? 赤裸々すぎるぞ? うん、まったく。
多分周りが日本語わからないと思ってプライベートの話してたら、そりゃおじさんだって…その…困っちゃうぞ?
で…、その…おっぱいの話とかさ(ゲス顔)
おじさん、気を使って聞いてないフリしてたけど全部聞こえちゃったんだぞ?(ここ十年で一番のゲス顔)
そりゃおじさんだって不満も溜まるよ。
だからちょっとくらいお返ししてもいいかなと思ったんですよ~。
タイミング良くね、そこで中央駅についたんですよ。
ああ降りなきゃと思ってたら件のカップルも降りる準備をしてて彼女さんが前を通ったんです。
…はい、みなさんここで一旦注目~!
彼女さんね、可愛かったんです(小声)
しかもね。いわゆる正統派な可愛さじゃなくて……なんと例えればいいでしょう?
そうね~、分かりやすく言うと『ブラックラグーン』のバラライカ様的な可愛さじゃなくて日常系な可愛さ?
まずねやっぱりヨーロッパ系の子でした。
で眼鏡をかけてて少し知的な感じですね。
でも見た目はかなりおっとりしてそうな子で、いわゆるオタ受けしそうな子なんですけど…可愛いんですよ。
でね? 電車降りたときに、話かけたんですよ。 わざと片言の日本語で
『ここは中央駅ですか』ってね。
まあ実際に中央駅なのかわからなくて話かけただけなんですけどね。
『はい、ここは中央駅だと思いますよ』
『そうですか…ありがとうね(流暢な日本語で)』
そこで…ですね? 彼女ハッとした顔になったんですよ。
そこでしてやったりですよね(ガッツポーズ)
完全に油断してプライベートの会話を聞かれてたわけですからね!
この僕に!
この汚らしいジャパニーズピーポーに。
そのまま颯爽と階段を降りて行くとき僕の背中にポツリと『やっぱり~!』って言葉が勲章のように残っていますよ(誇らしげ&恍惚)
しかしここまで書いてて思いましたけど、俺の行動気持ち悪いですね。
これを読んだ若い子はこんな大人になってはいけませんよ?
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