佐伯ちゃんの日常(新)

まっしろけっけ

プロローグ

第0話 「初めての出会い」


雨が降っている。周りの音が聞こえなくなるぐらい。俺は佇む。周りの目なんか気にせず。



「はぁ~~~~~~~~~っ……」


長いため息をつく。俺はさっき彼女に振られた。いや、見捨てられた、という表現のほうがあっているであろう。


「なんで……浮気なんかしたんだよ……」

「いつもはふざけてばっかりだったかもしれないけど、俺は…お前一筋だったのに…」


思い出すと悲しくなってくる。やめよう。昔の楽しかった思い出や悲しかったこと、様々な事を考えながら、雨の中歩いているとふと、川の近くにある黒いものが目にとまる。


「……?」


目を凝らしてよく見てみると人…のようだ。


「こんな雨の中傘もささずに何やってんだ……」


普段の俺なら気にもとめないはずなのに、なぜか今日は気になってしまった。振られたショックだろうか。


「あのー……風邪ひいちゃうぞ…?傘ぐらいさせよー…」

「………」


女の子だ。包帯や湿布、しかもフードを被っており顔が良く見えないが同い年くらいの女の子だ。


「おーい…聞こえてるかー?」

「………」


完全無視。何度も言うが、今日の俺はいつもの俺とは違かった。だから俺は気にしてしまった。に似ているこの女の子を…。


「風邪引くぞ??傘貸してやるから家帰れよ」


これが俺と彼女の初めての出会いであるーー…。

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