第五話 力

まさかここまで魔力量が少ないとはな・・・・それより、魔力使い切ると結構きついのな。


アラタはどっと押し寄せる疲労に耐えながら魔力量を底上げを計る練習メニュー?のようなものを考えていた。



―――今日みたいに使い切っていけば魔力量って上がんのか?



その疑問に答えるものはおらず、ただただ考える。



――まぁ、実践あるのみだよな。



そんな時、奥のドアが開き母親らしき人が入ってくる。


その手に持っているのは・・・・・やはり哺乳瓶。


そして、そびえたつ大きな双丘――そう、でか乳だ。これだけは何度見ても飽きない。


「はーい、ミルクでちゅよ~。」


わーいミルク~・・・・・っと、いけない。いけない。


危うく相手のペースに飲まれるところだったぜ。


その人は近くに置いてあった椅子に腰掛け、哺乳瓶を持ったまま俺を抱き抱える。


その慣れた手つきでアラタにミルクを飲ませる様はまるで聖母のよう。


飲ませているのはクソ不味いミルクだが。


しかし、疲労のせいか今日のミルクは何だかおいしく感じる気がする。そう、気がする。


・・・・おぇ。






~そして、四ヶ月後の今に至る。~


魔力を使い切っては寝て、使い切っては寝ての繰り返し。


体の疲労が蓄積されるとともに、自らの成長をあまり実感できていないアラタ。


成長しているかすら感じられず、ひたすら魔力を使い切るというのは、


暗闇の中を明かり無しで進むのと大差ない。


それでは精神力も削られるというものだ。


しかし、アラタはめげなかった。


毎日やってくる母親らしきあの人に会えたからだ。正確にはあのお胸が拝めるからだ!!


日々の癒しを得た性欲の塊・・・・・アラタは尋常ではないほどの力を発揮する。


当の本人は気付いていないようだが、今のアラタの魔力量は一般の大人が持つそれをはるかに超えていた。


これも日々の鍛錬のたまものと言うものだろう。


アラタの訓練方法では魔力自体を使い切ることに重きを置いているため、


魔法がどれだけ使えるかということは分からないのだ。


アラタ自身がこの事実に気付くのは少し先の未来の話だ。




さて、お胸パワー(なんか名前ついてる・・・)をもらい今日も魔力を枯渇させていく俺だったが、


ここにきてやっと体が動くようになる。


赤ん坊が動けるようになる、つまりハイハイを会得したのだ。


移動手段を手にしたアラタがまずすること。それは身体能力の確認であった。


あらかじめ高いと言われている身体能力だが、


どれほどのものか試したくなるのは、もはや人間の心理と言って良いだろう。


かくして俺は己の身体能力を測るべくゆりかごから移動するのだが・・・・



―――バキッッッ!!



これまたびっくり。腕力が異常に強すぎてかごの縁を壊してしまう。



―――おいおい、冗談だろ・・・・これ危なくないか?



力を使いこなせていない赤ん坊姿のまま好き勝手に動いてしまったら―――いつか、家がぶっ壊れる・・・


力の制御を早々にこなせるようにしておかなければ、この先自分の力に振り回されえることになるだろう。


試行錯誤の末、どうにかして物を壊さないよう慎重に訓練を始めるアラタであった。






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