仮称:孤独

@adam1118

前章 SNS

 ソーシャル・ネットワーク・サービス、略してSNS。投稿する際に誰かに見られていないせいか、口に出して言えないようなことをつぶやく人も多い。

 例えば誰かを貶すもの。

 例えば下品なもの。

 そして例えば...


 倉本:辛い。さみしい


 のっち:うまくいかない


心の穴を埋めようとするもの。

 今日は気分が悪くない。この二人、いや、女性である「のっち」の相手をしよう。

 「のっち」のアイコンをタップしてプロフィール画面、ダイレクトメール画面へとスムーズに移動する。


足立:ツイート、大丈夫ですか?相談乗りますよ


 ひとまずは、簡単な文章で様子をみよう。「のっち」とは以前数回タイムラインで話したことがあるから、あからさまに警戒されたりはしないはずだが、念のため、踏み込み過ぎないようにする。

 返信は五分と経たずに返ってきた。


のっち:ありがとう、でも大丈夫。たしか足立くんは倉本くんもフォローしているよね、彼のほうがやばいから慰めてあげて。


足立:わかりました。でも、のっちさんも無理せずに、誰かに相談してくださいね。


のっち:うん、本当にありがとう


 こういうときは焦らない。ゆっくりゆっくり油断させていく。

久しぶりにいい女に出会えた気がする。

 その日は倉本のダイレクトメールを送らないまま眠りに入った。


 

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