いそがわりんの運行日誌
トキワン
1日目<差し入れ>
あると嬉しい。現物臨時収入。非課税。
➖➖➖➖
「おはよございまーす!今日もよろしくお願いします!」
午前8:30。
倉庫内いっぱいに声が響き、また一週間が始まる。
「あっ、
声の主は女の子。
今でこそいつもの光景になったが、倉庫内で働く作業員も初めて鈴が来た時は、その声に戸惑った。
「よ!鈴ちゃん!仕事慣れたか?鈴ちゃんが来るようになってからうちのヤツらイキイキしだしてなぁ!なんせここに女の子が納品に来たのは5年ぶりやしなあ。」
「へへへ。優しくしてくださいよ~」
「最初は『この子は大丈夫か!?』て思ったけど、・・・大丈夫やで!しかし、鈴ちゃん来る前に来てた女の子はなあ・・・なんて子やったかなぁ・・・確かミ、ミ、ミッ・・」
鈴は相槌を打ちながら作業を進める。
荷物は自動車の部品。
リフトマンと連携して慎重に動かす。
(よし!完了!!)
「ありがとうございました!」
リフトマン達に挨拶を交わし、伝票を持ち受付事務所へ向かうが、蔵はまだ、誰かを捕まえて喋り続けている。
(蔵さん忙しそうだしこのまま出ようかな。)
そして、受領書を受け取り車へ乗り込もうとした時、 蔵がこちらへ『おいでおいで』をしていた。
(えっ!わたし?)
自分を指差しすると、蔵はそうそうと言わんばかりに大きく、早く腕を動かした。急いで駆け寄る鈴。
「な~んや、鈴ちゃんワシには挨拶なしかいな。悲しいわあ~」
「あ、い、いやぁ~。蔵さん忙しそうだったし。すいません。」
「挨拶もちゃんと出来へんドライバーは出入り禁止やな。あー残念残念。」
少し意地悪そうな声で言う。
「す、すいません!」
「はははは!!冗談や、冗談!鈴ちゃん真面目やしちょっと意地悪してみたんや。いや、ごめんごめん!」
(ひーーーん、よかった)
「もう、ビックリしたじゃないですか!あ~ビックリした!」
「ははは!ビックリして喉乾いただろ?これあげるし飲んで!」
そう言うと、蔵は鈴にコンビニ袋を手渡す。
「ありがとうございます!!」
「はい、お疲れ様!またよろしくな。」
「こちらこそ、またよろしくお願いします!」
鈴は、挨拶を終え運転席へ乗り込む。
「へへ~、飲み物もらっちゃった。やったね~!」
気分は上々。
「なっ、面白い子やろ?アレ見たらどんな顔するやろなあ?」
「蔵社長、好きですねそういうの。」
満面の笑みで鈴を見送る蔵とリフトマン。
鈴も、ガラス越しに満面の笑みで会釈し、クラクションを軽く鳴らして現場を出た。
(それにしてもあんなに笑顔の蔵さんみたの初めてかな。あ、そうそう!早速いただこうかな~。あ、でもコーヒーだったら飲めないなあ・・・ガサガサ)
運転席の横に置いたコンビニ袋をガサガサ弄る。
(お茶がいいなお茶、お茶、お茶~♪お・・・・)
取り出したものを見て、鈴は言葉を詰まらせた。
「・・・お、おおぜき」
1件目の仕事が終え、終了報告と、その後の指示を受けるために力を振り絞り会社へTelを入れるのであった。
1日目終了。
今日も一日お疲れ様でした!
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