第9話 武器庫



 先に入っていったコハクを追いかけていくと、武器庫の様な所に辿り着いた。


「ちょっと埃が被ってるけど、これなら大丈夫そう」


 コハクは、その部屋に並んでいる武器たちを品定めする様に、しげしげと眺めている所だった。


 裕司達が部屋に入ると、顔も向けずにコハクが話しかけてくる。


「何でも好きな物を選びなさい。召喚獣だったら、私一人が武器をもらう約束だったけど、でもあんた達人間だし、仕方ないわよね」


 そう言って、並んだ武器を示して見せた。


「貴方、一体私達に何をやらせるつもりですの? 復讐の手伝いと言っても、人殺しは御免ですわ。具体的に説明していただけません?」


 武器が必要と言われて、裕司達は即座に血なまぐさい予想を立てた。

 加奈が刺々しく言い放つと、コハクも同じような口調で言葉を返す。


「そんな事やらせるわけないでしょ。あたしは自分の手でケリをつけたいと思ってるんだから、せいぜい陽動とか囮とか、こなしてくれればいいのよ」

「危険な目に遭わせる事は否定しないんですね」

「文句あるの? 牢屋から出してあげたのに」

「いいえ、無いですわ。そういう事を頼まれるのも、承知の上でしたもの」

「やけに物分かりがいいわね」


 腑に落ちないと言った様子で、コハクは加奈の顔を眺める。


「参考までに聞くけど、あんた達の世界ってどんなところだったの?」


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