第5話 召喚主は大魔法使い志望



 これからの事を考えて、先行きの悪さに落ち込んでいると、その場に少女がやって来た。


「私の名前はコハクよ。将来大魔法使いになる人間。貴方達を召喚した主なんだから、偉いの。忠誠を近いなさい、召喚獣……って、人間?」


 強気な態度で自己紹介をしてきた少女はコハクと名乗った後に、首を傾げてこちらをまじまじと見つめてくる。


「人語を話す召喚獣とか、人間の姿になれる召喚獣とかいるけど、まさか本当に人間なの? 何の魔力も感じないわ。嘘、大魔法使いになろうともいう私が失敗するなんて」


 頭を抱えてうめく少女に呆れたように加奈が言葉を言い放つ。


「将来なるというのなら、大魔法使いというのは自称ではないんですの? でも、探す手間が省けましたわ。貴方が私達をこの世界に読んだのですわね。なら、先ほどここから出て行った人達に事情を話していただけません?」


 加奈の言葉に、頭を上げたコハクは、きっぱりと拒絶の答えを返した。


「いやよ」

「……それは何故ですの」

「私にはやらなくちゃいけない事があるの、復讐がね。事情なんか話したら止められるに決まってるわ。私は絶対に大魔法使いになって、復讐しなくちゃいけないんだから」

「色々事情がおありのようですわね」

「ええ、そうよ」


 コハクは、強気の態度で「だから」と言葉を続けていく。


「あんた達をここから出してあげるから、あたしの復讐に協力しなさい!」


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