第4話衝突

「大人しくしやがれ!」


大柄の男に抑え込まれ、ユラは身動きが出来ない状態になった。

なんとか逃げ出そうと必死にもがいたが、男は益々強い力でユラを拘束した。


「お前、うちの組長について調べてるな?そうだろう?」


もう一人の男がユラび問いかける。


「なんで、知ってる…の…」

「うちの組の情報網を舐めるんじゃねえ。お前の事務所に電話がかかってきた事くらいもう知ってるんだよ」

「そうそう、だから大人しく俺たちに従うんだ」


男達は怪しい笑みを浮かべると、ユラに優しい声で話しかけた。


「この件から黙って手を引けば身の安全は保証する。お前の上司も、事務所にも手を出さない。良い条件だろう?」

「…なんで」

「ああ?」


ユラを抑えている手の力が少しだけ緩んだ。

その隙をユラは逃さなかった。

ユラは少しだけ自由になった手でタブレットを操作した。

テンカに教わった通りに操作し、画面に魔法陣を描いた。

すると、強い風が巻き起こり、男達は布切れの様に宙を舞った。

ユラが使ったのは初歩の風魔法だった。

この魔法は小さな竜巻を起こすもので、使い方によっては今の様に大人でも浮き上がらせる威力がある。

ユラは同時に地魔法で自分の体を地面に固定し、風に耐えた。

竜巻が小さくなると、男達の体は地面に叩きつけられた。

うう、と呻く男達に、ユラは続けて束縛魔法をかけた。


「クソッ!このガキが!調子に乗ってんじゃねえぞ!」


b悪態を吐く男達に、ユラは静かに話しかけた。


「なんでうちの事務所に電話があったのを知っているの?」

「なんでって…それはうちの情報網で…」

「じゃあなんで私が調査しているのを知っているの?私はついさっき事件のことを聞いたばかりなのに、情報伝達が早すぎる」


男達は顔を見合わせて笑った。


「お前、何にも知らないのか。へえ…」

「それはどういう意味?」

「おっとそいつはお前の上司に聞くんだな」

「何ですって…!?」


ユラが更に質問をしようとした時、大勢の男達が公園に入ってきた。

ユラは諦めて浮遊魔法を使い、その場から逃げ去った。


暗い。

寒い。

ここはどこ?

動けない。

大丈夫、あの人がこんな所からすぐ連れ出してくれる。

絶対に。

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