第48話 東京で用事を済ませる。 (2)
女子会メンバー3人を乗せたTXつくばの電車は秋葉原駅に到着。
そこは終点のはずだが、まだ閉ざされたままのドア。
{ 現在、周囲の状況を確認中です。 今しばらくお待ちください。 }
ミナコ「え・・・? 何かあったの?」
不安そうに周囲を見回すティナ。 スマホを見ているステラ。
突然、ドアが開いた。
{ 駅員が誘導します。指示に従って避難して下さい。 }
そのアナウンスに電車内の乗客がザワつく。
{ これは訓練ではありません。駅員の指示に従い、慌てずに避難して下さい。}
駅構内はスムーズな誘導のおかげなのか、パニックの一歩手前で何とか踏み止まっている。
そんな中、女子会メンバー3人は競歩のような早足で出口へ向かおうとしていた。
ティナ「ステラさん、さっきからスマホばかり見てるけど、危ないよ?」
ステラ「分かってますよ。 あ、今からいう事、彼女に教えてあげて。」
話を聞くティナ。
(ほんの数時間、時を遡る)
あの忌まわしきトラック突入無差別大量殺人事件が起きた、その交差点。
一台の乗用車が交差点中央に差し掛かろうとした時、助手席の窓が開き、
四角い物体がせり出てきた。
突如、その先端が火を噴く。 発射されたのは超小型ミサイルだった。
大爆発。
犠牲となってしまった、派手な広告を掲げていた宣伝トラック。
ミサイルを発射した、ナンバーの付いてない乗用車から・・・
「ヒャッハーーッ!!!」と複数の若い男たちの歓声が上がった。
ものの数分でその周囲一帯に非常線が張られ、パトカーが取り囲もうとするが、
すぐにその内の一台が撃たれ、破壊された。
ナンバーの無い乗用車は、交差点中央に停車したまま。
そして、SWAT隊が到着するものの、まだ睨み合いは続いていた。
黒煙を上げて炎上している宣伝トラックとパトカー。
そんな最中・・・
女子会メンバー3人を乗せた、つくばエクスプレスが終点の秋葉原駅に到着した。
ティナ「ミナコー、ここらへんの電車、全部止まっちゃってるから・・・
ステラさんが車を手配したって。 いいよね?」
ミナコ「え・・・? そうだったんだ・・・ うん、分かった。」
女子会メンバー3人が出口に指しかかろうとした時、わずかに立ち込めていた異臭は、さらに強くなった。
軽油やディーゼルエンジンのオイルなどが激しく燃焼している時に発生する異臭。
化学消防車数台も到着した。 だが・・・
例のナンバー無し乗用車は交差点中央に居座ったまま。 消火作業が開始される様子は無く、少し離れた場所に待機している化学消防車数台。
ミナコ「・・・事故でもあったのかしら?」
ティナ「じゃなくてね、テロだって。 ステラさん言ってた。」
ミナコ「えぇーー!?」
ステラ「この場所・・・あなた、御存じない?」
と、自分のスマホの画像をミナコに見せた。
ティナ「・・・・・だって。 ここらへん、わかる?」
写真に写っていたのは、下に川。左側に鉄道。メインは大きな橋だった。
橋の上には、数多くのやじ馬も写っている。
ミナコ「あ、東京メトロの新御茶ノ水駅方面ね。 そんなに遠くないよ。」
ティナ「ステラさん、その写真って?」
ステラ「迎えの車。 非常線張られてしまって、すぐ近くまで行けないので
このコインパーキングで待ってます、だって。」
二枚目の写真は、4台駐車できる駐車場の一角に停めてある、少しゴツめの
乗用車。 大使館のそれに似たナンバーが付いている。
女子会メンバー3人は、神田川沿いのゆるい坂道(外堀通り)を歩いて写真の
現場に向かう事にした。
この状況下だろうか、秋葉原方面へ向かう車線は封鎖され、川沿いの御茶ノ水方面
の車線は避難して来る車の列で大渋滞している。
途中、自販機を見かけたステラとティナの二人は、そこで足が止まってしまった。
ステラ「・・・・・」
ティナ「・・・・・」
ミナコ「もー、お二人ともー! そんなに気になりますー?」
ティナ「だってさ・・・日本のコイン持ってるのミナコだけだし・・・」
ミナコ「わかりましたー、好きなの選んでくださーい!」
と、ミナコが自販機に500円玉を入れた、その時だった。
例の交差点方面から再び爆発音。
その直後に、チェーンソーのエンジン音のような音が数分間鳴り響いた。
ミナコ「・・・・・」
ティナ「ステラさん、あれって・・・?」
ステラ「SWATのマシンガンよ。」
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