金の鎖
カゲトモ
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ある意味、相思相愛なのだろうとは思う。だって二人とも見つめる視線はとてもあたたかなものに見えるから。
会話が途切れて少し沈黙が流れると、浩太郎さんは俺を見上げて声を掛けてきた。
「そうだマスター」
「はい、なんですか。浩太郎さん」
「実はね、最近凄いことがあって」
「凄いこと、ですか?」
「はは、あの」
とまで言いかけて、良からぬ話だと感じ取ったのかすかさず横が突っ込んでくる。
「ちょっとっ」
蘭子さんが浩太郎さんの腕を小突く。怒ったような驚いたような顔をした蘭子さんを見て、浩太郎さんはまた楽しそうに笑った。
「何を言うつもりよ」
「な、何って凄いことの話でしょ?」
天然ぶって答えたのか、それとも本当に天然なのか。でも浩太郎さんの場合は後者な気がする。
「え、あ、あれじゃないわよね?」
「あれ?」
「ほらあれよ」
んーなんとなくそのオチは見えているような気もするけど・・・?
「あれって?」
「ほら、最近、その、あれじゃない。だからあれのことよ」
「あれ・・・? 蘭子がうちにご飯を作りに来てくれているってこと?」
「そう、そ・・・ちょっと!!」
っっ! いや、こういうオチだろうとは思ったけど! まさかの蘭子さんが浩太郎さんの家にご飯を作りに行っているだなんて!? でもあれ? 料理できないんじゃ? っていうか鍵は? この間黙って取って来た、いや預かっていた鍵は!?
「ちょっとマスター、にやけないでよ」
「これは失礼を。つい、我慢できなくて」
「ん~っ!」
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