殺伐


透明な風には

いつしか

嫌な匂いが混じっていた

それを当たり前のように肺に入れ

歩く男と女

ぼくの父と母だ

そしてぼくが生まれた

やがて全てを破壊したいと強く願ったぼくは

全身ケチャップ塗れになって

ダイナマイトに火を点けた

導火線がしけっていた

力が抜けた

ベッドに身体を投げ

もう何もしたくはなかった

それでも腹は減り

胃は何かを詰めろと泣き言を言う

人形は工場で均一に削られた

表面がつるつるになったそれらを見て工場長は大変良くできましたをくれた

人形ではないと主張する人形だった

放課後クラスメートの一人が殺された

目の前で

大量の血が流れた

皆、一瞬だけ日常を忘れて興奮したけれど

それを拭き取る専門の人たちによって片付けられると

またいつもの日常へと引き戻された

家に帰る

何かやらなくてはならないことがあるわけでもないのに

それでも早く家に着く


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