惑星


遠くの方で

鐘の鳴る音がした

りんごんと

その音は

夕暮れの丘を越えて

ぼくたち兄妹のところまでやって来た

ぼくたちはゆっくりと目が覚めた

ゆっくりとこの世界の住人になり始めた

ああ………

随分、長い夢を見ていた

それをうまく説明することは出来ないけど

この世界には

時間はいくらでもあった

だから後でじっくりそのことについて考えてみようか

「みかん」

ぼくはそう呟いていた

隣りで眠っていた妹がむくりと上半身を起こした

何故そのようなことを口走ってしまったのか?

自分でもよくわからなかった

みかん

みかんってなんだ?

でもそんなことは誰の身にも起こることだろう

いちいち気に留めるほうがおかしいのだ

「まさし」

今度は妹が呟いた

なんだって?

ううんなんでもないって

もう今、自分が発した言葉に興味を失ってしまったようす

ぼくは妹を見つめた

妹もぼくを見つめた

「じゃぱねっとたかた?」

「はんしんたいがーす?」

少し間を空けて

ぼくたちは思いっきり笑った

楽しい夜になりそうだった

遠くの方の鐘の音はまだ微かに聞こえている

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