消滅
夏の朝
カーテンから零れる
午前の光に目を覚ました
隣りにいる筈の
お姉ちゃんがいなかった
(あいつ………こんなに早起きだったっけ?)
いつものようにパジャマを着替え
階段を降りて行った
無音で
まるで気配の無い階下へ
誰もいなかった
誰もいなかったんだ
夏休み初日
ぼくを残してみんなで何処かへ出掛けたのか?
書き置きもせずに
取り敢えず
ぼくはパンを焼いて食べることにした
部屋に戻って漫画を読み始めた
(おかしい………)
さっきから表を走る車の音がまるでしない
ようやく気付いた
(人間がいない?)
この街に
玄関から表へと飛び出した
陽射しはいつもと変わらず降り注いでいた
それなのに
それを受け止める街は変わっていた
(夢ならいいな………)
誰もいない
店員もいないコンビニエンスストアの店内で
きっとこれは夢に違いないと
もう何百年も前からそうであったかのように
映らないテレビ
に映る
泣きそうな自分の顔
翌朝
ぼくは恐る恐る目を開けた
ああ………
隣りにいる筈の
お姉ちゃんがいない!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます