消滅


夏の朝

カーテンから零れる

午前の光に目を覚ました

隣りにいる筈の

お姉ちゃんがいなかった

(あいつ………こんなに早起きだったっけ?)

いつものようにパジャマを着替え

階段を降りて行った

無音で

まるで気配の無い階下へ

誰もいなかった

誰もいなかったんだ

夏休み初日

ぼくを残してみんなで何処かへ出掛けたのか?

書き置きもせずに

取り敢えず

ぼくはパンを焼いて食べることにした

部屋に戻って漫画を読み始めた

(おかしい………)

さっきから表を走る車の音がまるでしない

ようやく気付いた

(人間がいない?)

この街に

玄関から表へと飛び出した

陽射しはいつもと変わらず降り注いでいた

それなのに

それを受け止める街は変わっていた

(夢ならいいな………)

誰もいない

店員もいないコンビニエンスストアの店内で

きっとこれは夢に違いないと

もう何百年も前からそうであったかのように

映らないテレビ

に映る

泣きそうな自分の顔

翌朝

ぼくは恐る恐る目を開けた

ああ………

隣りにいる筈の

お姉ちゃんがいない!


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