俺の話

あかいし

第1話

「おはよ」

「オハヨウ」

 あいつが俺の顔を真上から覗き込んでいる。

「来てたの」

「今ね」

 ここは俺の家だ。あいつは、暇な時に俺の家にくる。気が付くといる。

「もしかして起こした?」

「いや、大丈夫」

 まだ半分は寝ている。

「なんか食いたい」

「マックならあるけど」

「マックかよ」

「じゃあ食うな」

 あいつが自分の飯として買ってきたものなのだろう。袋の音がする。

「食う」

 俺が手を伸ばすと、あいつはハンバーガーの包みを手に置いた。

「てかなんでソファで寝てんの」

「あーなんか布団で寝れなくて」

 寝室はちゃんとある。布団に入っても逆に目が冴えてしまう時がたまにあって、そういう時はソファの方で寝る。

「うま」

「よかったな」

 自分が食べるために買ってきたのを食べられても怒るわけでもない。あいつはそういう奴だ。

 あいつのためでは決してないが、全部食べる気になれず、満足すると俺はまた横になった。

「おやすみ」

「寝るんかい」

 あいつの吸う煙草の匂いの中、俺はまた眠りにつく。


 

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